むかしむかし山に在る村にて、老人と彼の家族が暮らしていました。
ある新年の朝、老人は彼の三人の息子に初夢について尋ねました。初夢とは、新しい年に初めて見た夢の事です。もし良い初夢をみたのなら、良い年になるだろうと言われています。また初夢は現実になると、考える人もいます。しかし、その夢のことについて話をしたら実現することはないとも、考えられています。一人目の息子と二人目の息子は彼らの父親に彼らが見た夢のことを話しました。しかし、末の息子は彼の夢を話したくはありませんでした。彼は、こう言うだけでした。
「私は良い夢をみました。」
老人は尋ねました。
「どのような、吉夢だろうか?。私にそれはどのような物だったか、話してくれ。」
しかし、末息子は話そうとはしませんでした。老人は大変怒りました。老人は彼の家から末息子を追い出しました。
「帰ってくるな!。」
末息子は今では宿無しになりました。彼は山道を悲しく歩き降りました。彼には行くべきところがありません。その時です。天狗が空から舞い降りて来て言いました。
「おい!、おまえはどう言うわけでそんなに悲しんでいるよう見えるのだ?。」
「私はとても良い初夢を見たのです。しかし、その見た夢の内容を父親に話しませんでした。それで、彼は私を家から放り出したのです。」
「なるほど、なるほど。それは大変だったな。おまえの夢はどんなものだったのだ?。」
「ごめんなさい。貴殿にでさえも、私は私の夢についてのお話は出来ません、天狗様。しかし、それは本当に良い夢だったのです。」
「おまえの夢を話してみろ、そうしたら俺はおまえにこの蓑笠をやろう。これらを身につけると 4,828 Km をひとっ飛びだ。さて、話してくれるよな?。」
「わかりました。しかし、私はほんとうにそれらを身につけたら空を飛ぶことができるのでしょうか?。」
「もちろんだとも!。」
天狗は蓑を末息子に背負わせました。そして、天狗は笠を末息子の頭に被せました。
「私に 4,828 Km を飛び越えさせてくれっ!。」
末息子は叫びました。
その時突然に彼は、天狗に彼の夢を話すこともなしに飛び去りました。天狗は大変怒りました。しかしその天狗に出来ることは、何もありませんでした。
末息子は遠く、遠くに飛んで行きました。彼は洞窟の目の前に着地しました。大きな一匹の鬼が、その洞窟から出て来ました。
「おまえはどうしてわしの洞窟まで、飛んできたのだ。」
「ええ…。私はとても良い初夢をみたのですが、私がみた夢について父親に話しませんでした。そして彼は、私を家から追い出したのです。私が山路に沿って歩いていると、天狗に会いました。天狗は私にこの、4,828 Km を飛ぶことの出来る蓑笠を与えてくれました。この蓑笠が、私をここに運んだのです。」
「それで、おまえの初夢はどのような物だったのだ?。」
鬼は、末息子が返答するのを待っていました…。