Narration: 小さな村に、ゴンベイと言う名の農家がいた。彼はまた、村の床屋でも在った。彼は昼の間は忙しく働き、夜には安らぐのが好きだった。ある夜ゴンベイが寝る準備をしていると、誰かが扉を叩く音と彼の名を呼ぶのを聞いた。
Tanuki: (どん、どん)ゴンベイ!。(どん、どん)ゴンベイ!。
Gombei: 誰だい?。深夜だよ!(外に呼びかけ)もし散髪が必要なら、明日来てくれ。
T: (どん、どん)ゴンベイ!。(どん、どん)ゴンベイ!。
G: あーっ!。誰かが私の助けを必要としているのかもしれないな、行って、見てみようか。
N: ゴンベイは玄関まで行き、扉を開ける。
G: (そとに呼びかけ)おい、誰だい?。
N: だれもそこには居ない。そうしてゴンベイは寝床に戻った。しかし次の夜、ゴンベイは声を再び聞く。
T: (どん、どん)ゴンベイ!。(どん、どん)ゴンベイ!。
N: 彼は扉まで行く、しかしまた、だれもそこには居ない!。
G: また?!うーん。狸かもしれないな。狸が私に悪戯しているんだ!。明日の夜は、狸を捕まえてやるぞ!。
N: 次の夜、ゴンベイは再び声を聞いた。
T: (どん、どん)ゴンベイ!。(どん、どん)ゴンベイ!。
N: ゴンベイは玄関まで音を発せず歩いた。扉の反対側では、狸が扉を彼の頭で叩いていた。ゴンベイは狸の頭が扉に再び打ち当たるちょうどその前に素早く扉を開けた。狸はバランスを失い、ゴンベイの家の中に倒れ込んだ。
T: あーっ!。
N: ゴンベイは素早く、狸を捕まえた。
G: は!、おまえ、捕まえたぞ!。縛り上げるから、お前は逃げられないぞ。
T: お願いしますから、行かせてください!。もう深夜にあなたの名前を呼ぶことはしません。
G: だめだ!。お前は悪い狸だ、私はお前にしつけを教えこむぞ。
N: ゴンベイは狸に何をしようか考えた。そうしてひとつアイデアが浮かんだ。
G: ああ!、私は床屋だ。お前の頭の毛を全部そってやろう。お前はばかみたいに見えるだろう。それで、私に悪戯を再びする気は無くなるだろう!。
T: なに?!、やめて!。
N: そうして、ゴンベイは狸の頭の毛を全部剃った。いまでは狸はとてもおかしく見える。彼の身体は毛で覆われているがしかし、彼の頭には全く毛が無い。
G: はは!。お前はへんな格好だぞ、狸。皆がお前を笑うだろう。
N: 狸はゴンベイの家からゆっくり歩き出た。ゴンベイは思った、もう狸はこれ以上扉を叩くことは無いだろうと。その夜、ゴンベイは幸せな気持ちで寝床についた。しかし暫く後、彼は何か音を聞いた。
T: (どん、どん)ゴンベイさま!。(どん、どん)ゴンベイさま!。
G: はあ?、また狸?。あいつがまた来るとは信じられない!。で、なんで”ゴンベイさま”、と呼ぶんだ?。狸、どっか行け!。お前はお呼びでは無い。
T: ゴンベイさま、私をなかに入れてください!。
G: だめだ!。
T: 悪戯ではないのです、ゴンベイさま。私はあなたに或る事をお願いするためにここに居るんです。
G: なんだ?。
T: 私はあなたが剃ってくれた私の頭を気に入っています。体もまた、剃っていただけないでしょうか?。