Narration: 江戸のとある通りにて、二人の男が話をしている。
Man 1: おいおまえ、美しい幽霊、お菊の物語を知っているか?。
Man 2: いや、知らない。その幽霊の話聞かせてよ。
M 1: よし、彼女はかつて番町にある大きなお屋敷で、女中として働いていた。しかしある日、彼女の主人は彼女が、高価な十枚組の皿から一枚の皿を盗んだのだと思った。そうして、彼は彼女をあやめた!。
M 2: 彼女を殺した?。
M 1: そうなんだ。そうして、彼女は幽霊になりその屋敷に毎晩現れ始めた。彼女は皿を一から九まで、主人の目の前で数えた。主人は気が狂い、死んだ、と言われている。彼女は未だに毎晩、現れていると言うよ。
M 2: ほんとうか?。その屋敷に行こうよ。で、それが本当かどうか確かめよう?。
M 1: なんだって?!。怖いよ…。
M 2: 来いよ!。面白いと思うよ!。
M 1: ああ、うん…。
N: その夜、二人の男は大きな屋敷に行き、お菊が現れるのを待った。
M 1: お菊だっ!。
Okiku: 一枚、二枚…。
M 1: あー、彼女はとても美しいな!。
M 2: うん。こんなに可憐な幽霊は未だかつて見たことがないよ!。
O: 六枚…。
M 1: あーっ!。もう行かないと!。
M 2: 何?!どうしたの?。
M 1: もし彼女が九まで数えたのを聞いた時、死ぬ、と言われているんだ!。
N: 二人の男はその夜はそこを離れた。しかし次の夜彼らの友人たちと共に再びそこに来た。程なく、さらにさらに多くの人々は美しい幽霊のことを耳にし、彼女を見に来ることになった。彼らは彼女のとりこになった。
Fan: お菊ちゃーん、サインをいただけませんか?。
O: うんっ!。来てくれてほんとうありがとう!。
N: 群衆は大きく大きく成って行った。すぐに弁当やお菓子を売る店が出来た。ある夜、お菊はいつものようにショーを行う。
M 1: わっ!。すごくたくさんの人だ。お菊はとても有名人だな。
M 2: おい、司会者まで居るぞ!。
MC: 紳士淑女のみなさま、みなさまの大好きな幽霊、お菊です!。
Crowd: (声援と拍手)
O: はーい!、みんなどうしてた?。さーっ、お皿数えちゃおう!。一枚、二枚っ…。
N: 聴衆が第6番目を聞いた時、彼らは全員去り始めた。しかしそこには余りに沢山の人々がおり、彼らの多くは移動することが出来なかった。
M 1: あーっ、だめだ!。我々は死んでしまうぞ!。
M 2: いやだ!、だれか助けてくれ!。
O: 八枚、九枚…。
N: お菊は九まで数えた、しかし誰も死ななかった。
M 1: はっ?。誰も死んで居ない!。何が起こったんだ?。
M 2: 変だな。どうして彼女はまだ数え続けているんだろう?。
O: …十八枚っ!。
N: お菊は十八まで数えた、しかし皆は生きて居た。
M 1: お菊ちゃん、どうして今日は十八まで数えたんだい?。
O: うんっ!。明日はおしごとオフなの。そういうわけで十八枚。九枚は今日の分なの。で、九枚は明日の分!。