エンジョイ・シンプル・イングリッシュ 和訳

NHKのラジオ番組 enjoy simple english「エンジョイシンプルイングリッシュ」を和訳しています。

「Narrow Road to the Far North - Episode 3 - Hiraizumi and Chuson-ji」(2022 年 3 月)

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 私はとうとう、白河に到着した。それは東北への関である。実感の湧かない夢のような私の旅は、ここで実際に始まった。過去の詩人達が偉大なる詩歌を詠んだ場所を訪れながら、曾良と私は歩いていた。松島にて、大海を望む景色は衝撃的に美しいものだった。様々な形状、様々な大きさを持つ多くの島々がそこに在った。風にその枝を背けた、美しい松の木を携えた島も在った。私はその絶景を観たのち大変に感激し、その夜容易に眠れない程であった。

 

 我々は平泉へ向かった。常々訪れてみたいと思っていた場所である。奥州藤原氏が三代に渡り、この土地を治めていた。その地域は約100年間に渡り、安全で豊かであった。それは長い期間であろうか?。我々の国が持つ長い歴史と比較すると、それは長くは無いものである。彼らの城は日本全土に知れ渡っていた。城はとても巨大なものであった。南大門から居城まで、四キロメートルを歩かなくてはならない。しかし城は今や存在せず、田野がそこに在るのみである。未だ、金鶏山はそこに形を残している。それは富士山に模して人に築かれた山である。

 

 私は高館の古戦場を観に行った。そこは源義経が自害した地である。そこは丘の頂であり、遥か彼方の山々から流れが始まる北上川を望める。私は義経の事を想った。彼と彼の家臣達はこの地で勇敢に戦い、死んでいった。人の人生とはなんと短いものであろう!。草木は違う。それらは毎年のように芽を出し、永遠なる生命の環を保ち続ける。私は笠を取り地面に敷いた。私は静かに、頬に泪を落としながら、唐のとある有名な詩を吟じた。私はこの俳句を詠んだ。

 

 成長する夏草

 長い過去に兵たちが戦った場所

 今となってはひとつの夢でしかない

 

 次に、私は中尊寺を訪れ二つの有名な堂を観た。初めに 16,000 巻の経典と藤原氏三将の像を残す経堂である。次は光堂であった。それは阿弥陀三尊と清衡、基衡、秀衡の棺を納めている。その堂の内部は黄金、白銀、美しい石材で装飾されていた。このような装飾は風雨により崩れ落ちたり損傷を受けたりするだろう。しかし、賢明な者が光堂を覆う為に鞘堂を建立した。私はこの静かで美しい堂に感銘を受けた。それは 500 年の歴史を持つが、驚くほど良い状態に保たれている。それはまるで、雨が光堂を保全したいが為に、そこに降らないように感じられた。この俳句が私の心に浮かんだ。

 

 五月雨が降る、しかし

 光堂の上には降らない

 その結果、光堂は未だ美しさを保っている

 

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