エンジョイ・シンプル・イングリッシュ 和訳

NHKのラジオ番組 enjoy simple english「エンジョイシンプルイングリッシュ」を和訳しています。

「A Case of Identity Part One」(2022 年 5 月)

 

 シャーロック・ホームズと私がある日話をしている最中に一人の淑女、メアリ・サザランドという名の、が訪ねてきた。

「貴方は警察よりも優秀だと私は伺いました。私は毎年、100ポンドの副収入があります。もし、貴方がホズマ・エインジェルさんを見つけて下さるのなら、私はこれを貴方に支払うつもりです。」

「それは大金だ。」

「私は60ポンドで暮らしていけます。私はその生活費を賄うことのできる仕事を持っています。」

 ホームズは言った。「貴女の仕事はタイピングに違いない、しかし続けてください、貴女のお話を聞かせてください。」

 メアリは驚いた。しかし、彼女は答えた。

「私は私の父親、ウィンディバンクさん、がエインジェルさんを捜索する手助けをしてくれなかった事に腹を立てました。それで、こちらに参りました。」

「貴女のお父上の名はサザランドでは無い、ということはウィンディバンク氏は貴女の義父、という事でしょうか?。」

「ええ、彼は若いですが、彼のことを私は父と呼んでいます。」

 ホームズは他の質問をした。「お母上はご存命でしょうか?。」

「ええ生きています。私の父親は死に、そして私の母は彼の会社を継ぎました。母がウィンディバンクさんと結婚した時、彼はその会社を母に売るようにさせました。彼らは大した額を得ませんでしたので、彼らは私の100ポンドで今生活しています。」

エインジェル氏のことについて私にお話し下さい。」

 メアリは頬を赤らめた。

エインジェルさんはとても静かな声でお話になります。彼の眼は私の眼と同じように悪いために、彼は色付きの眼鏡を身につけています。私は彼と舞踏会で出会いました。私の父は私をどこへも出掛けさせようとはしないのですが、その時父はフランスに行っていました。」

「ウィンディバンク氏は舞踏会についてお怒りになったのでは?。」

「私の驚いたことに、怒りませんでした。エインジェルさんは私の父がまた別の所用に出向くまでの間、毎日手紙を書いてくれました。」

「貴女はどこへ貴女の手紙を送付していたのですか?。」

「彼はある事務所で働いていました。しかし私は住所は存じません。彼は彼の同僚に私からの手紙を見られたく無いのだと言います。それで私は郵便局に手紙を送り、彼はそれをそこで受け取っていました。」

 ホームズはそうしてメアリに次に何が起きたのかを訊ねた。

エインジェルさんは、父が戻る前に結婚をするべきだと言いました。彼は私の手を聖書の上に置き、私が彼のことだけを考えることを約束させました。母も彼のことが気に入っていました。それで母は私に、母が後で父親に伝えてあげると言ってくれました。」

「式はいつですか?。」

「それは先週金曜日の予定でした。エインジェルさんは私共の家まで馬車で来ました。その車内には二人しか座れませんでしたので、私と母をそれに乗せ、ご自分は辻馬車をつかまえました。それが私が彼を見た最後の機会でした。その馬車は教会に着きましたが、彼は中には居ませんでした!。」

 ホームズはメアリに言った。「酷い扱いを受けましたね。」

「私はそうは思いません。何が起こっても私は彼のことを愛し続けるようにと、彼は私に言いました。いずれ彼からの連絡があるだろうと父は言います、でも…。」

 その言葉と共に、メアリは泣き出した。

「この件調査してみましょう。しかし、ホズマ氏は貴女の人生から消えてしまった。ですから、貴女の記憶からも彼の事は消しなさい。」

「有難うございます。しかし、私は彼のことを待つという事を約束したのです。」

 メアリはホームズに新聞広告とエインジェル氏からの手紙を渡して去った。ホームズは彼のパイプに火を点け、言った。

「ワトソン君、私はこれに似た事件に携わった事がある。」

 

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