ある夜、大学教授のヒルトン・ソームズ氏がホームズの部屋を訪れた。彼は言った。「ホームズさん、私は貴方の助けが必要なんです。私は今日、印刷屋から受け取った、明日の試験の問題用紙を確認していたのです。その時、私は一時間ばかり私の部屋から出ていました。私が戻った時、そのドアは鍵がかかっていない状態でした。そして私は、だれかがその試験問題を移動させたことに即座に気がつきました。ページのうちいくつかが床に在りました。まず初めに、私は私の使用人、バニスターがそれを行ったのだろうと考えました。しかし彼は正直な男であり、その様なことは決して行わないでしょう。」
「それで、バニスター氏は今どこに?。」
「彼に何が起きたかを私が話した際、彼は具合が悪くなったようにみえ、椅子に座り込みました。私は彼をそこに残し、貴方に会いに来ました。ホームズさん、私は学生が私の部屋のドアに鍵がかかっていないことに気がつき、試験問題を見たのだと考えます。明日の試験は高額な奨学金のためのものですから、学生によっては大変重要なものです。私のいる建物に暮らす三人の学生が、この試験を受験する予定です。」
「なるほど。その謎の人物は何か手がかりを残しましたか?。」
「ええ、壊れた鉛筆の破片が床に。そして机には切り傷が。また、私は土のかけらも見つけました。」
ホームズはこれを聞いた時、微笑みながら言った。
「貴方の部屋を調査しに行きましょう。」
ソームズ氏の部屋は一階にあった。はじめに、ホームズはその部屋の内部を窓越しに見た。その窓は高くに在ったので、彼は内部を見るのに爪先で立たなければならなかった。ホームズは言った。
「貴方の使用人はどこかへ行ってしまった。彼が座っていたのはどの椅子ですか?。」
「窓のそばにあるそれです。」
「わかりました。その謎の人物は窓のそばのその机の上で問題用紙を写していた。そのようにすれば、彼は貴方が帰ってきたかどうかを見ることができる。彼はあまりに急いでいたので彼の鉛筆を折ってしまった。ああ、ここに土のかけらがある。その形状は特徴があるものだ。ピラミッドのようだ。そして、机に切り傷もみえる。ソームズさん、他の部屋も見てみることは出来ますか?。」
「ええ勿論、ホームズさん。あれが私の寝室です。」
ホームズは全てを見つめていた。その時かれは突然に膝をついてかがみ、言った。
「やあ!。もう一つほかの土のかけらだ。それは貴方の机の上にあるものと同じ形状のものだ。ああ、その謎の人物はこの部屋に入りここに隠れたんだな。それではソームズさん、私にその三人の学生についてお話しください。」
「はい、ギルクリストは優秀な学生で、また、運動選手でもあります。彼は走り幅跳びの選手ですし彼は背がとても高い。彼の家はかつて裕福なものでしたが、いまは彼らは貧しくなりました。ラースは寡黙な学生で、明日の試験科目、ギリシア語を除いては良い成績です。マクラレンは賢いがいつもは勉強を熱心にしません。彼は明日の試験のことを心配していたかもしれません。」
「わかりました。では、私はバニスター氏とお話がしたい。」