ある日、私はホームズの家を訪ね、新しい、窓を覆うカーテンを見た。私はビリー、ホームズの若い使用人、に尋ねた。
「このカーテンは何の為のものだい?。」
「私どもはその後ろに面白いものを持っているんですよ。ご覧になります?。」
私はとても驚いた。ホームズのような格好をした人形が、まるで彼が椅子に座り本を読んでいる様に座っていた。ビリーは言った。
「頭を異なる角度に動かすことも出来ますので、人はそれが人形だとは分かりません。」
そうしてビリーは窓の外を見て言った。
「ホームズさんを見ている人物が居ります。」
ちょうどその時、ホームズが彼の寝室から現れた。彼は疲れている様だった。
「ビリー、君はもう行っていい。ワトソン、私は今夜殺されるかもしれない。」
「ホームズ、何が起きているんだ?。」
「万一私が殺される場合に備え、私は君に私を殺す者の名を覚えておいてほしい。それはネグレット・シルビウス伯爵だ。」
私はホームズのことをよく分かっていたので、彼は冗談を言っているのでは無いことを知っていた。私は言った。
「彼を今捕らえよう。」
「そうもできるだろう、ワトソン。しかし、私はダイアモンドがどこにあるかまだ知らないんだ。」
「君はマザリンの宝石の盗難の事を言っているのか?。シルビウス伯爵が盗賊だったのか?。」
「そうだ。サム・マートンという名のボクサーの助けと一緒に。」
私はホームズは伯爵が何処にいるのか知っているかどうかホームズに訪ねた。彼は言った。
「知っている。私は老女に変装して今朝彼を追跡した。」
ビリーが名刺をトレイに乗せ、部屋に入ってきた。ホームズはその名刺を見て微笑んだ。「私はこのことを信じることが出来ない。シルビウス伯爵はここだ。ワトソン、誰かが我々を通りから見ていないか確かめてくれるか。」
「ああ、ホームズ。危険な見た目の男が居る。」
「それはサムに違いない。ビリー、私がベルを鳴らした時に、その名刺の紳士を部屋に入れてくれ。私は部屋にいないかもしれないが、とにかくそうしてくれ。」
ビリーは部屋を出た。ホームズは続けた。
「ワトソン。警察に行ってくれ。我々は寝室のドアから出よう。私はそのダイアモンドを、君が戻る前に見つけることが出来るかもしれない。」
ホームズはそう言いながら、ベルを鳴らした。
数分後、シルビウス伯が空の部屋に入った。彼はカーテンの裏に、椅子に座る男のシルエットを見て驚いた。彼の目は細められ、悪意を持った。伯爵は彼の杖を振り上げた、しかし突然にホームズがその部屋に入った。
「それを壊すな!。それは人形だ。さて、椅子にお掛け願おう。」
シルビウス伯はしばらく混乱していたが、そうして彼は聞いた。
「なぜお前は男達を使い、俺を追跡した?。」
「どの男達だと?。貴殿は部屋のその角にある傘を覚えておりますかな?。」
「お前はあの老女だったのか?。もし俺がそれを知っていたら…。」
「私は今は死んでいたでしょうね。」
伯爵は怒りながら言った。「なぜ俺を追うようなことをした?。」
「貴殿は楽しいから、ライオンを狩ることをする。また、害獣を退治するためにそれをする、だろう?伯爵。」
「その通りだ。」
「私は貴殿と同じことをしているんだよ。」
シルビウス伯は彼の椅子から飛び上がり、彼の銃に手を伸ばした。