エンジョイ・シンプル・イングリッシュ 和訳

NHKのラジオ番組 enjoy simple english「エンジョイシンプルイングリッシュ」を和訳しています。

「Shoscombe Old Place Part One」(2022 年 9 月)

 

 ホームズは手紙を読みながら、突然に言った。

「ワトソン、君は、サー・ロバート・ノルベルトンについて耳にしたことがあるかい?。」

「ああ。彼は多くの競走馬を所有し、ショスコム・オールド・プレースでそれらを調教している。私は彼が金銭問題を抱えていると聞いた。」

「なるほど。ショスコム・オールド・プレースについては、君は何を知っている?。」

「サー・ロバート・ノルベルトンはそこに彼の姉、ビアトリス夫人と暮らしている。ショスコム・オールド・プレースは亡くなった彼女の夫のものだ。よって、ビアトリス夫人が亡くなった際には、その地所は彼女の亡くなった夫の家の者たちに返還されるだろう。君はどうしてそんなことを尋ねるんだい?。」

 その時、扉が開き、背の高い男が中へ入ってきた。ホームズは言った。

「貴殿が、サー・ロバートの馬の調教師、メイソンさんですね。私は貴殿の手紙を読みました。貴殿の置かれている状況をお話し願えますか?。」

 メイソンは言った。

「私の雇用主、サー・ロバート、と彼の姉、ビアトリス夫人、が違和感のある行動をし続けているんです。」

「ふむ。もう少しお話しください。」

「はい、二人はいつも親密でした。夫人は心臓が悪く、サー・ロバートは通常、毎晩彼女の部屋に訪れていました。しかし、今はそうではありません。」

「二人には諍いがあると貴殿は考えますか?。」

「ええ。サー・ロバートは飲み宿の主人に、ビアトリス夫人の買っている犬を与えさえしました。夫人は彼女の犬を大変に可愛がっていました。また、夫人は彼女の馬たちを愛していましたが、今週は馬たちを一度も見に行くことはありませんでした。そして、夫人は酒を大量に飲んでいます。ああ、もう一つあります。サー・ロバートは近くの教会の地下に毎夜、降りています。」

「これはどんどん面白くなってきた!。お続けください。」

「ある夜、私はサー・ロバートの後を教会までつけて行きました。彼は男と話していましたが、私にはその男の顔が見えませんでした。」

 ホームズはしばらくの間静かに座り込んでいた。その時、彼は言った。

「ビアトリス夫人と親密な者は誰かいますか?。」

「彼女のメイドの、キャリー・エバンズが彼女の身の回りのもの全てを世話しています。うーん、エバンズはまた、サー・ロバートとも親密です…。」

「ああ、そのことは彼ら二人の諍いの原因になりうる。ビアトリス夫人はエバンズを追い出したい。しかしサー・ロバートはこれに同意しないだろう。夫人は不機嫌になり、酒を大量に飲み始めた。サー・ロバートもまた怒り、ビアトリス夫人の飼い犬を彼女から離した。しかし、なぜサー・ロバートは毎夜、教会に行くのだろうか?。」

「ええ、昨晩サー・ロバートは出かけていたので、私はその教会に向かいました。そして私は恐ろしいものを見たのです。」

「それはなんです?。」

「それは古い、人間の頭蓋骨と幾らかの骨でした。後日、ショスコム・オールド・プレースにある炉で、これを私は見つけました。」

 私はそれを見て言った。

「それは人間の骨だ。」

 ホームズは尋ねた。

「その炉にはいつ火が起こされるのですか?。」

「毎晩です。召使いがそれをします。そうして、炉は一晩中燃えたままになります。」

「では、その炉には皆が行けるわけだ。貴殿はサー・ロバートは留守だったと言いました。では、彼はその骨を炉で焼くことはなかったということだ。」

 ホームズはゆっくりと彼のパイプをふかした。そうして、彼は言った。

「ビアトリス夫人の犬に会いに行こうか。」

 

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