むかしむかし、中国にある小さな村に、老人と彼の若い息子が暮らしていました。老人の名は塞翁といい、彼はまた聡明でした。彼の村に暮らす人々は彼のことが大好きで、尊敬もしていました。彼は豊かではありませんでしたが、しかしとても美しい馬を所有していました。全ての人がそのことを知っているほどに、美しい馬でした。彼らはいつも、塞翁がいかに幸運かについて話をしました。しかし、その老人は幸運についての話はしませんでした。彼は一所懸命に働き、彼の息子と彼の馬の世話をするのみでした。そうしてある日、ある事が起こりました。塞翁の馬が消えたのです。そして誰もそれを見つけることが出来ませんでした。村の人々は皆とても残念がりました。彼らはその老人に言いました。「私たちは皆あなたの馬が居なくなったことに対してとても気の毒に思っている。貴方のような善良な人に起こるなんて、良くないことだ。」しかし塞翁はただ、言いました。「それが良くない事だと、どうして貴方は知っているのですか?。それはそういうものだ、というだけのことです。」
数日後、村の人々は馬が村の中に駆け戻ったことを聞いて、驚きました。それは塞翁の馬でした!。彼らは、その馬が一匹だけではなかった事を知り、さらに驚きました。その馬は二匹のより美しい野生の馬を、もたらしたのです。
塞翁はそして村一番の豊かな者となりました。彼は三匹の馬を所有しています。村の人々はその老人に対して言いました。「我々は貴方にこんなに良いことが起きて、嬉しく思います。」しかし塞翁はただ、言いました。「それが良い事だと、どうして貴方は知っているのですか?。それはそういうものだ、というだけのことです。」
塞翁の若い息子は野生の馬に乗ることが大好きでした。彼は乗馬を何時間も何時間も、来る日も来る日も訓練しました。そうしてある日、彼は一匹の馬から落馬し、足を折りました。数ヶ月後、その息子は再び歩けるようになりました。しかし、彼は以前のように走ることはできませんでした。村の人々はその老人に対して言いました。「我々は貴方の息子にこんなに良くないことが起きて、残念に思います。」しかし塞翁はただ、言いました。「それが良くない事だと、どうして貴方は知っているのですか?。それはそういうものだ、というだけのことです。」
その時、戦争が始まりました。村の全ての若者は連れていかれ、戦士になりました。しかし、塞翁の息子は悪い足を持っており、そのため戦士になることができませんでした。彼は彼の父親と共に、村に残りました。
その戦争は酷い物でした。その戦争で戦った村の全ての若者は亡くなりました。村の人々はその老人に対して言いました。「我々は我々の村の若い者たちが戻らなかったことを残念におもいます、しかし、貴方の息子は我々と共に暮らしており、嬉しく思います。」しかし塞翁はただ、言いました。「物事が良いのか、悪いのかを、決して理解できることはありません。それはそういうものだ、というだけのことです。」