Yuka: あなたは彼のこと、本当にカッコいいと思っているの、ミレイ?。
Mirei: もちろんよ、ユカ!。わたしのクラスの女の子全員が、彼を見つめることをやめられないわ。
Yuka: 私には理解出来ないよ。イツキと私は同じ小学校に通っていたから、そんな風に彼をみることは出来ないな。
Mirei: あなたはとてもラッキーね。ああ、わたし、彼のバイクの後ろにのることができたらなあ。
Yuka: もしあなたがそうしたいなら、私彼に頼んでみることができるよ。
Mirei: あなた知らないの?。彼は決していっしょに女の子とのらないのよ。いろんな女の子がおねがいしたんだけれど、彼はいつもダメだって言うの。
Yuka: ああ…私それは知らなかったな。
Mirei: ユカ、貴方の、「ああ」って言い方、怪しいわ。貴方、彼のバイクに乗った事が?。
Yuka: いいえ無い、勿論、ないわよ。あらいやだ。私、スマホをあのカフェに忘れて来ちゃったよ。
Mirei: うそでしょう?。バスが数分で来るよ!。
Yuka: 私、カフェにスマホを取りに戻るよ。
Mirei: でも、もしこのバスを逃したら、次のバスはもうあと30分来ないよ!。
Yuka: そうだね。もし私が間に合わなかったら、私を置いていけば良いから!。
(カフェにて)
Yuka: あれっ?。スマホ、ここには無いな…。
Itsuki: やあ、ユカ。
Yuka: こんにちは、イツキ。この辺りでスマホ見なかった?。
Itsuki: あれは君のスマホだった?。僕、それを数分前に見つけて、学務課へ持っていったよ。
Yuka: わあ、有難う。じゃあね!。
Itsuki: ああ、うん…。
* * *
Yuka: 待ってよ!。ああ、だめだ。バスが行ってしまったよ。30分ここで待つべきかなあ?。それとも、40分掛けて歩こうかな?。私はどちらもしたくは無いなあ。もっとバスの本数が在ったら良いのに。あっ?。あなた、イツキ?。
Itsuki: 乗れよ、ユカ。
Yuka: 何よ?。私?。
Itsuki: 僕今朝新しいヘルメットを買ったんだよ。だから、君がこれを装着したら良い。ほら、これを着けて、乗れよ。
Yuka: でも私…。
Itsuki: 君の友達が今発車したあのバスに乗っている、んだろう?。
Yuka: そうなの、でも…。
Itsuki: あのバスより僕が君を駅まで早く送る事ができるから、そこで彼女と会えるよ。さあ、何もたもたしてるの?。
Yuka: うむむ…。ありがとうね。
Itsuki: 君の手を僕の腰に置いて。
Yuka: あっ。
Itsuki: もし君が強く掴まなかったら、君は振り落とされてしまうよ。
Yuka: (彼女の心のなかで)何が起きているのかな?。私の心臓がとても速く脈動している。こんな気持ち、どうしてイツキに?。
(バイクの上で)
Yuka: ああ、わあ!。風がとっても気持ちいい!。バイクに乗るってことが、こんなに気持ちの良い物だと、私知らなかったよ!。
Itsuki: この季節は特に、良いんだ。
Yuka: 何て言ったの?。
Itsuki: 季節が、特にさ…。
Yuka: 聞こえないよおっ!。
Itsuki: なんでも無いっ!。
(バスの中)
Mirei: あれ、イツキじゃない?。彼といっしょに女の子が乗ってるの?。えっ?、あれはユカ?。
(駅にて)
Yuka: 本当に有難うね、イツキ。
Itsuki: うん、これは特別だったんだよ。
Yuka: 私、貴方が女の子を貴方と一緒に乗せることは無いって知ってるの。今日は、貴方が私のことを助けてあげたいなと思ったから、特別だったのよね。
Itsuki: 違う。僕は、君が僕の特別な人だと言っているんだ。
Yuka: えっ?。貴方、何を言っているのよ?。
Itsuki: じゃあね!。
Mirei: ユカっ!。わたし、バスであなたのこと見たわ。イツキと一緒だったじゃない!。あなた、たくさん説明することがあるわよ!。