
Shiori: いや、いや、いや!。わたしたちはきょう海へ行くつもりだったの!。
Mother: ごめんね、かわいいあなた、でもあなたは熱を出してしまったからね。私たちは私たちの海の予定を中止しないとならないわ。
Shiori: いや!。
Father: シオリ、君が良くなったらすぐに行こう。海は君のことを待っていてくれるよ。
Shiori: わたしは、きょう行きたいの!。だからお父さんわたしに買ってくれたピンクの浮き輪に空気を入れてよ?。お父さんがそうしている間にわたし、熱をどこかに行かせるから。
Father: ああ、シオリ。君がこの日を待ち望んでいたことを私は知っているがしかし…。
Mother: 子供っぽいことをいうのを、やめなさいシオリ。
Shiori: お母さん。わたし本当に行きたかったの!。みて、パジャマの下にわたし新しい水着を着ているの。わたし、お父さんとわたしが一緒にかわいいお魚と海で泳いでいるところの絵をかいたんだよ。
Father: わかったよ。僕が君を海に連れて行くよ。
Mother: あなた?。
Shiori: お父さん!。ほんとう?。
Father: ああ。ただし、君は家を出られない。
Shiori: どういう意味?。
Father: 僕らは自分自身の浜辺をまさにここに、作るんだよ。
Shiori: わたしたちのおうちの中に?。どうやって?。
Father: 僕に任せて。君は熱を出しているから、ベッドに戻りなさい。僕が大きな青いピクニックシートを準備するのを、君の母さんが手伝ってくれるよ。
Mother: それで私たち、何をするつもりなの?。
Father: シオリのベッドの周りをそのピクニックシートで囲い、海を作るんだよ。
Shiori: わたしもてつだいたい!。
Father: だめだよ、シオリ。君は休まないと。ベッドに横たわって、目を瞑りなさい。
Shiori: そうしたら、わたし海が見えないじゃない。
Father: 君はこれから海を見るわけじゃないよ。君はこれから海を感じるんだよ。
Shiori: はあ?。
Father: 僕を信じて。目を閉じて。君は波の音を聞くだろうね…。
Shiori: わあ、わたし波の音、ぜったい聞く!。
Father: 君の目を閉じたままに。
Mother: あなた、どうしてザルをもっているの?。
Father: これは波のためだよ。見て?。僕はザルの中に乾燥した豆を入れた。そうしてゆっくり僕が右に左にザルを動かすと…。ジャジャーン!。
Shiori: すごい!。
Father: 君の浜辺はお気に召されましたか、シオリ?。
Shiori: 波の音は聞こえるけれど、浜辺の香りがしないかな。
Mother: それはわたしに任せて!。
Shiori: 何をするの、お母さん?。
Mother: 待って御覧なさい。おとうさん、波の音、出して?。そしていくわよ!。
Shiori: ああ、わたしの顔に風が吹くのをかんじる。
Mother: あなたのお部屋に空気を送るために私、扇風機を使ってるの。
Shiori: ああ、それにわたし、磯の香りをかんじている!。何をしているの、おかあさん?。
Mother: それは秘密よ。
(お腹が鳴る音)
Mother: ああ、あなた、今のあなたのお腹だった?。シオリは私たちの空想の浜辺を楽しんでいるの。しずかに。
Father: 君、グリルでイカを焼いている、だろう?。その匂いが僕を空腹にさせるよ。
Mother: ザルを動かし続けて!。私、シオリはもう寝るところだと思うな。
Shiori: おとうさん、おかあさん、みて。すっごいたくさんの泳いでいるお魚がいるよ…。
Father: 彼女は浜辺での、僕らで過ごした日のことを夢見ているんだと思うよ。僕ら、いい仕事をしたね。