エンジョイ・シンプル・イングリッシュ 和訳

NHKのラジオ番組 enjoy simple english「エンジョイシンプルイングリッシュ」を和訳しています。

「The Red Silk Scarf - Episode Two」(2025 年 2 月)

 

「それで、偉大なるガニマール警部。何が起きたと考えるかい?。」

 

 アルセーヌ・ルパンは警部に訊いたが、ガニマールは一言も話さなかった。彼は興味を惹きつけられたことを示したくなかった。

 

「いいんだそれなら。私に簡単な説明をさせてくれないか。昨夜、9 時から 10 時の間に若い女性がナイフで斬りつけられた。そうして赤いスカーフで、死ぬまで首を締められた。その殺人者は片眼鏡をかけた身なりの良い紳士。彼は競馬が好きだ。そして彼が彼女を殺害する前に、彼らは共になにか甘いものを食べている。」

 

 ルパンは話を止め、煙草に火をつけた。彼はガニマールを見て言った。

 

「まず、昨夜 9 時以降であるというのは、新聞に 夕刊 と書いてあることから分かる。夕刊は 9 時以降にしか配達されないからだ。そしてそれは競馬新聞だ。甘いもの、についてはボール箱に幾らかクリームが付着しているのが見えるだろう。割れたガラス片には孔が在る。片眼鏡だけがそのような孔を持ち、片眼鏡を用いるのは紳士だけだ。当然、その女性が赤いシルクのスカーフを身に着けていた。」
 
 ガニマール警部は沈黙を保ち、ルパンは話を続けた。

 

「紳士がなぜ女性を殺害したのかは我々にはわからないが、彼がナイフと赤いスカーフを使ったということは分かる。近くでよく見ればスカーフには乾いた血液が付着している。殺害者は証拠を隠滅する必要があった。それで彼はスカーフを半分に切った。反対側のもう半分は殺害された女性の手の中にあるのではないだろうか?。そうして彼が使った全部のものを集め新聞紙に包み込んだ。彼はそれらがセーヌの河底に降りることを確実にするためにインク壺をおもりとしてその時に使った。彼の運の悪いことに、それは船に落ちただけであった。君はどう考えるかい?。」

 

 警部は沈黙を保ったままで、彼の顔は何の感情も示さなかった。ルパンは笑い始めた。

 

「私には私自身で殺人者を探し出す時間は無い。今この瞬間にもやることが沢山あってね。ロンドン、ローザンヌで強盗しないとならない。ある女性も救わないとならない。それで考えたんだ。私の友人ガニマールがこの事件を解決できるだろうと。彼はとても賢明だし、事件を解決することは彼のキャリアによく働くだろうと。」

 

 ガニマールはどう考えたらいいのか判らなかった。

 

「すぐ後、君はその若い女性がミュージックホールの踊り子か或いは歌手だと知るだろう。そして殺人者はポンヌフ橋の近隣に住んでいる人物だ。私はこの赤いスカーフの半分を持って居よう。12 月 29 日の 10 時、再び会おう。スカーフのもう半分を持ってくるのを忘れないように。ああ、殺人者を逮捕する際には彼は左利きだということに気をつけて。ではさようなら、幸運を祈るよ!。」

 

 そう言うと、ルパンは扉を開け、ガニマール警部が彼を追う前に姿を消した。

 

「これはすべて悪い冗談だろう。」

 

 ガニマールは言った。 
 しかし、そうではなかった。職場へ戻ると同僚が言った。

 

「聞いたか、昨晩殺人事件が有った。ミュージックホールの歌手が殺害された。」

 

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