
12 月 29 日が来た。それはルパンとガニマール警部が合う日だった。ガニマール警部は再び、すべてがそこで始まった古い家に訪れた。ルパンが先に話した。
「スカーフを持ってきたかい?。」
「ああ、例のものの半分だ。」
「合わせてみよう。」
彼らはテーブルの上にその、2つのスカーフ片を広げた。彼らは完全にうまく合わさった。
「ガニマール警部、君は私の分のスカーフに血の指紋が残っているかどうか、見たいだろう?。」
ルパンは彼の側のスカーフを窓に透かして固定し、ガニマール警部は嬉しげな声を発した。
「ああ、5 つの指紋全てが鮮明に見えるな。」
「君が見ることができるのと同じように私も、見える。ガニマール警部、これは彼の左手だ。そういう理由で、私は彼が左利きだと知っていたというわけだ。」
ガニマール警部は素早くそのスカーフを取り、彼のポケットへ入れた。
「君の方のスカーフ片を見せてもらうことはできるかな?。」
ルパンはその、赤いシルクのスカーフの端にある飾り房を調べた。
「あの歌手の従者が君に話したことは覚えているかな?。従者は君に、あの歌手は裁縫がとても上手だということを話しただろうと思うのだけれどね。私は興味が湧いて君のポケットの中にあるスカーフの飾り房を開いて見たんだ。内部には彼女に幸運を齎すメダルが一枚入っていたよ。素敵、じゃないかい?。それで、そのことが私に思わせたんだ。反対側の方にも、同じように大切な何かを彼女は隠したに違いないと。」
「大切な、なにか?。」
「そうだよ、ああなるほど!。」
その瞬間、飾り房から輝く青い宝石を取り出した。それはあの、サファイアだった。
「それで君に、それを私の下に持ってくるように頼んだのだ。」
「この、泥棒め!。それを返せ!。」
ルパンは赤いスカーフを返したが、サファイアは持ったままだった。
「私はこれは戴くつもりだ。この事件の手がかりを私は君に与えなかったかな?。そして、犬のようにそれに君は従ったのでは無いかな?。さて、聞き分けの良い犬になり、例の殺人者を逮捕するために必要なその血塗られたスカーフを持って家に帰るのだ。君はこれを、どう考えるかい?。」
ガニマール警部は激怒し、彼の拳銃をルパンに向けた。
「これが、俺の考えることだ!。手を上げろ、ルパン!。」
「もし私が君だったら、それは使わないな。君の家政婦、老カトリーヌは私の友人でね。今朝、君の拳銃を水の中に入れておくように、私は彼女に頼んだんだよ。」
ガニマール警部は驚いた。彼は拳銃をポケットに入れ、唐突にルパンへ向け走り出した。その時にガニマール警部は、いつでもルパンは自分を打ち負かすことを思い出し、止まった。
「賢明な選択だね。」
しかしルパンが扉の方へ動いた際、ガニマール警部は反射的に彼を止めようとした。翻って、ルパンはガニマール警部の頭を殴って倒した。ルパンは笑いながら逃げていった。
20 分後、ガニマール警部は彼の部下のひとりから手紙を受け取った、それにはこう書いてあった。
君は人のことを信用しすぎる。もし君に誰かが、君の拳銃は湿っていると言っても彼を信じない方が良いし引き金を引くべきだ。それを言うのが私だとしてもね。もし君が信じないで引き金を引いていたなら、君は以下二つのことが判っただろう。其の一、君の拳銃は湿っていなかった。其の二、君の召使いは正直者で君にのみ忠実な人物だ。
親愛なる友 アルセーヌ・ルパン