エンジョイ・シンプル・イングリッシュ 和訳

NHKのラジオ番組 enjoy simple english「エンジョイシンプルイングリッシュ」を和訳しています。

「Sansho-dayu - Episode 1 - The Parting」(2022 年 1 月)

 

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 四人が越後、現在では新潟県、の海のそばの道を歩いていました。安寿は14歳であり彼女の弟厨子王丸は12歳です。二人の母親は30歳くらいでした。そして、女の従者が彼らと共にいます。

 地元の女がその側を通りました、その時従者がその女に尋ねました。

 

「すみません。今晩私たちが泊まることのできる場所はどこかに在りませんか?。」

 

「残念ながら、御座いません。近頃は、人を売り買いする悪い男たちがおりますので私どもは家に見知らぬ人を入れることは出来ません。今晩は彼処の橋の下で過ごしたら如何でしょうか?。後ほど私が幾らか筵を持って差し上げましょう。」

 

 彼らが橋に着いた際、辺りは暗くなりつつありました。母親と従者は恐ろしくなりました。彼らは親切な女が戻るよう、祈りました。

 

 誰かがとうとう現れました。しかしそれはあの女では有りません。それは逞しい男でした。

 

「私はこの辺りをいつも警邏している。私は泊まる所を持たない旅人を気の毒に思う。もしお前たちが望めば私の家に来て、温かい物を食べなさい。」

 

 従者は行こうとはしませんでしたが、しかし母親は安全で温かな食事を彼女の子供達のために欲しました。

 

「ご親切、大変有難うございます、旦那様。私の夫は九州に向かいました。そうして私達は夫を見つけるためにそこへ行くのです。私達は船に乗るべきでしょうか、あるいは歩き続けた方がよいのでしょうか。旦那様はご存知でしょうか?。」

 

 男は答えました。

 

「海の道を選んだほうがいい。山には多くの危険な道がある。私にはそこまでお前たちを運ぶ船を探す助けができるよ。」

 

 母親は親切な男に出会えたことに安心しました。彼女は部屋と食事に対して対価を払いたいとおもいましたが、その男はそれは必要ないと言いました。代わりに彼は言いました。

 

「私がお前の財布を預かっておこう。お前は海にそれを落としたくは無いだろう。」

 

 次の日の朝。男は旅人たちを海まで連れて行きました。そこに二つの船が現れました。男は母親と従者は一つの船に乗せ、子供達はもう一つの船に乗せました。そうして男は言いました。

 

「達者でな!」

 

 そうして、彼は速やかに去りました。

 その船は異なる方向へ進み始めました。母親の船は北へ向かい、子供たちの船は南に向かいました。少年は彼の母親に向かい叫びましたが、それは遅すぎました。彼らは謀にかけられたのです。

 その母親は彼女の子供たちに叫びました。

 

「さようなら、私の大切な子供達。安寿、お前の仏像を決して失わないで。厨子王丸、あなたの父親の刀を大事にしてね。私に、お前たちは一緒に居ると言うことを約束してね!。」

 

 波が冷たい空の下、子供達と彼らの母親の鳴き声を消し去りました。

 

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