Narration: ある夜、キチベイは仕事から家に帰っています。彼は橋の上で若い女性を見つけると、彼女が泣いているので立ち止まり彼女に話しかけます。
Kichibei: おい!。大丈夫かい?。この橋の上で一人で、なにをしているんだい?。
Woman: 私は大変に落ち込んでいます!。私はもう生きていたくはありません。
K: 人生、そんなに悪いことばかりでもないよ。話をしないか。俺は話聞くのが上手だよ。
W: 本当ですか?。私の話を聞いてくれますか?。
K: ああ、いいよ。話した後では少しはお前さんの気分も良くなるかもしれない。
W: 私は話をしたいのですけれど、私の顔、貴方に見せることができないんです。
K: 俺を見ることができないのかい。なんでだい?。
N: 突然、その女性は泣くのを止めます。そうして、彼女はゆっくり振り向き、言います。
W: 俺は私の顔を見せることができない。なぜなら、俺は顔が無いからだ。見ろ!。
K: ああああっっっ!。
N: その女性は眼を持たず、鼻を持たず、口も持っていません!。彼女の顔は丸く、滑らかで卵のようです。キチベイは叫びながら逃げます。すぐに彼は行燈を見つけます。そこは蕎麦屋です。
K: 助けてくれ!。おかしなことが起こった!。ああ、落ち着くために酒がほしいよ。
N: キチベイは蕎麦屋の店主に、恐ろしい化け物に彼が出会ったことについて話します。蕎麦屋の店主は顔を下に向けたまま、蕎麦を切っています。
Owner: はは。お前も化け物に会ったのかい?。他の客も俺にその話をしてたよ。
K: ほんとうかい?。
O: ああ。とにかく、お前が無事でよかったよ。俺はその化け物に会ったことは無いと思うんだが、それはどんな風な見た目だい?。
K: それは、眼もない、鼻もない、そして口もない!。
N: 突然、店主は蕎麦を切るのを止めます。そうして、彼は顔をあげ、言います。
O: その化け物は俺みたいな顔だったかい?。
K: ああああっっっ!。
N: 店主は眼を持たず、鼻を持たず、口も持っていません!。キチベイは出来る限りの速さで逃げだします。すぐに彼は家につきます。彼の妻が台所にいます。
K: おまえ?!。ああっ!。俺はとても怖かったよ!。今晩、二つの化け物を見たんだよ!。
W: 落ち着いて!。なにがあったか私に聞かせてよ。
K: うん。帰り道に、橋の上で若い女を見たんだよ。彼女が振り向いたその時、彼女には顔が無いんだ!。
W: まあ!。それはとても怖いね!。
K: そうなんだよ!。俺は蕎麦屋に駆け込んで、店主にその化け物の話をしたんだ。彼は初めは下を向いていた。だけど、彼が俺を見た時、彼にもまた、顔が無いんだよ!。
W: わあ、こわい!。
K: ああ、なんて夜だよ!。やっと家に帰ってこれて俺は嬉しいよ。
W: もうそんな化け物に遭わないでおくことを願うわ。で、それはどんな風な見た目だい?。
K: うん、それは、眼もない、鼻もない、そして口もない。
W: 眼もない、鼻もない、そして口もない…。その化け物は俺みたいな顔だったかい…?。
K: ああああっっっ!。