エンジョイ・シンプル・イングリッシュ 和訳

NHKのラジオ番組 enjoy simple english「エンジョイシンプルイングリッシュ」を和訳しています。

「Donna Strickland」(2022 年 9 月)

 

 「レーザー」という単語を考えた時、皆さんは SF 映画のワンシーンやコンサート会場の色とりどりの光を思い浮かべるかもしれません。実際にはレーザーは我々の毎日の暮らしに用いられています。例えば、スーパーにあるバーコードリーダーや、皆さんのパソコンと一緒に使うマウスはどちらもレーザーを利用しています。長い間、レーザーは大して便利なものでは有りませんでした。しかし一人の人物がその状況を変えました。彼女の名前はドナ・ストリックランド。これは彼女の物語です。

 

 ストリックランドは 1959 年にカナダに生まれました。彼女は数学と物理学が得意でしたので、彼女は大学でそれらを学ぶことを選択しました。レーザーの講座が存在することを彼女が見つけた時、彼女は思いました。

「とてもかっこ良くきこえる!。私はそれをやらないと!。」

 そして、レーザー学の専門家になることを決めました。1981 年に卒業したのち、ストリックランドは研究を続けることを決め、フランスの物理学者、ジェラール・ムルの元に従事することにしました。

 レーザーは 1960 年前後に発明されました。そして科学者はレーザーをより強力なものにするという点で、すぐに大きな進歩を遂げました。しかし 1968 年頃、それを進歩させるのには難しい状態になりました。それからレーザーは約 20 年以上進歩しなかったのです。ムルはレーザーをより強くする方法を探していました。ムルは沢山のアイデアをもち、そしてストリックランドはそれらのアイデアの何れかが、上手く行くかどうかをテストする数多くの実験を行いました。レーザーは扱うには難しいものでした。そこに多くの電力を注入すると、レーザーはより強いものになりますが、しかしそれらはまた、燃えてしまうことになります。

 ムルのアイデアのうちの一つを実験する目的で、ストリックランドは電力を注入する前にレーザーの波の速度を落としました。そして彼女はその速度を再び早くする方法を見つけました。新しいレーザーの波は熱くなりすぎることなしに、より強いものとなりました。また、それは大変に精密なレーザーでした。これが意味するのはつまり、正しい場所に正確にその光線がたどり着けるということです。そして彼女の新しいレーザーは角膜を削ったり、スマホに使われるガラスを成形したりすることに用いられることが可能になりました。この時を振り返ってストリックランドは言いました。

「誰もそれ以前に作ったことがないものを作ってそれが実際に機能する時、それは本当に素晴らしい気分です。」

 すぐに他の科学者は彼女の方法を使いました。そして今ではレーザーはより便利なものになっています。

 2018 年、ストリックランドはノーベル物理学賞を受賞した史上三番目の女性となりました。沢山の人々がストリックランドに、女性物理学者であることについて、を尋ねました。しかし彼女はこう言っただけです。

「私は自分のことを科学の中の女性とは見ていません。わたしは自分自身を科学者として見ています。」

 現在、ストリックランドは大学教授であり、レーザーの研究を続けています。彼女が大学に入学した時、ストリックランドはレーザーは「かっこいい」ものだと考え、それらの研究を始めました。彼女は彼女の情熱を決して失わず、そしてそのために、私たちの毎日の暮らしをより便利なものにしている力強いレーザーを、私たちは得ています。

 

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