エンジョイ・シンプル・イングリッシュ 和訳

NHKのラジオ番組 enjoy simple english「エンジョイシンプルイングリッシュ」を和訳しています。

「The Great Gatsby - Episode One」(2024 年 3 月)

 

 私の父親は嘗て私に言った。

「ニック、多くの人々はお前がすでに持つ有利な立場というものを、持っては居ないのだ。」

と。

 

 大学を卒業後、私は中西部を離れ証券会社で働くために東へ移った。それは 1922 年の春の事だった。私の家はウエスト・エッグと呼ばれるニューヨークの郊外に在った。ウエスト・エッグは「成金」が暮らす場所であり、イースト・エッグは昔ながらの資産家が暮らす場所だった。そして、その二つのエッグの間には、美しい湾が在った。

 私の隣家はとても広い庭を有していた。その邸宅はまた、まるでフランスのホテルを模したような外観をしていた。その家はギャッツビー氏の所有であると、私は後に知る。この物語は私の従姉妹デイジーと彼女の夫トム・ブキャナンとの、イースト・エッグに在る彼らの家で会食を得たあの時から正に、始まる。トムとは大学からの知り合いだ。彼は莫大な資産家の出であり、その夫婦は信じられないほどの裕福な暮らしをしていた。トムは私に言った。

「僕はここに素敵ないい家を持って居ると思うんだよ。」

 彼にはそのつもりは無いが、彼が人のことを見下しているのだと感じる者も居た。

 私はデイジーが白いドレスを身につけソファーに座って居るのを見た。彼女の顔は物憂げで、愛らしく美しい眼をしていた。彼女の低く、魅力的な声で彼女は私に話しかけた。

「あなた、私の女の子を見て。彼女は 3 つなのよ。」

 

 その時、突然にデイジーの隣に座る若い淑女が私に話しかけた。

「貴方はウエスト・エッグにお住まいですわね。ギャッツビーさんをご存知のはず。」

 彼女の名はジョーダン・ベイカー、彼女はプロのゴルファーだ。デイジーはギャッツビー氏とは誰のことか知りたがった。彼は私の隣人であると話そうとしたのだがディナーが始まり、私たちの会話は終わった。

 ディナー中に電話が在り、トムはテーブルを去った。すぐにデイジーがトムの元へ向かった。その時、ジョーダンと私は彼らが言い争うのを耳にした。ジョーダンによると、トムはニューヨークに恋人を持つのだと言う。

「周知のことですわ。しかしなぜ会食中だというのに彼女は電話をかけてこないとならないのかしら?。」

 私は家に着いて、湾を眺めた。15 メートルほど離れたところに、何気ないように男が水際まで歩いていた。それがギャッツビー氏であると私は考え、私は彼に声を掛けようとしたが私は、しなかった。湾の対岸に緑の灯がともるその水際に、彼は彼の腕を伸ばしていた。

 その時期ある日曜日の午後、私はトムの不倫相手のマートルと会った。彼女は「灰の谷」に暮らして居た。そこはエッグズとニューヨークの狭間に在る場所で、そこでは家も、空気も、人でさえも、灰色だった。彼女の端正な、しかし萎れた夫、ジョージは自動車修理工場を併設したガソリンスタンドを経営していた。私は結果的に、トム、マートル、そして彼らの友人達と、ニューヨークに在る彼らのアパートで酒を飲む事になった。私は人生のうち二回だけ酒に酔った事が在る。その二回目がその、午後だった。

 

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