エンジョイ・シンプル・イングリッシュ 和訳

NHKのラジオ番組 enjoy simple english「エンジョイシンプルイングリッシュ」を和訳しています。

「The Arrest of Arsene Lupin - Episode Three」(2024 年 4 月)

 

 その船上の人々はロゼーヌが悪ふざけをしていると思った。ある乗客が言った。

 

 「ロゼーヌは彼自身の金銭を盗んだのだ、皆が彼をルパンだと思わないように。」

 

 しかし、彼自信をあのような方法で縛ることは不可能であると、私にはわかっている。そしてロゼーヌの胸のところに残されたメモの手書きの文字は完全にルパンの筆致と同じものだった。皆は恐怖を感じた。今や、誰もがルパンであろうことが可能である。

 アメリカからの電報が受信され始めた。しかし船長はそこに何が書かれて在るか我々には話さない。静寂が我々を脅かした。

 

 その日は乗船最後の日だった。時間がとても長く感じられるように思えた。しかし、私にとっては、それらのことは全くのところ、楽しい時間であった。有難うルパン。私はネリー嬢と親密になれた。彼女は怖がり、守ってもらうことを望んだ。それは私が喜んで与えるものだった。私は甘美な愛の夢の中に居り、幸せだった。

 アメリカの岸のそばに我々が近づいた際、アルセーヌ・ルパンの捜索は断念された。皆は誰がルパンなのか我々が見出す瞬間を待ち望んでいた。

 

 「貴方はとても興奮しているようにみえますわ。ダンドレジーさん。」

 

 ネリー嬢は私の腕に柔らかく寄り添い、そう言った。私は同意した。

 

 「そのことを考えてみてください!。これは大変に心躍る瞬間です。そして私は貴女と一緒にその時を過ごすことができた。」

 

 我々が船着場に到着した時、税吏職員が船の上に乗船した。

 

 「もしルパンがもう既に船から逃げていたとしても、私、驚きませんわ。」

 「ええ、ネリーさん。彼はもしかしたら捕らえられることよりも死をむしろ選ぶかもしれません。海に飛んだ可能性も在りますね。」

 「貴方は冗談を言い、楽しんでいらっしゃる!。」

 「失礼。待って、あそこをご覧なさい。付き場に立つあの小さな男性が見えますか?。」

 「オリーブグリーンのコートを身につけて、傘を持つ方でしょうか?。」

 「そうです。彼がガニマール氏です。」

 「刑事さんの?。」

 「そうです。彼は言います。自分がルパンを捕まえるだろう人物であると。ああなるほど、そう言うわけか!。」

 「何を仰られて?。」

 「今、私は理解しました。色々の情報を我々が得られなかった理由を。ガニマール氏は彼の業務上の秘密を守ることを好むのです。」

 「それなら貴方、ガニマールさんはルパンをこの場で捕まえるとお思いですか?。」

 「それは誰が知りましょう?。」

 「ああ、わたし、逮捕を見るのが待ちきれないわ!。」

 「お静かに、ネリーさん。」

 

 乗客は船を降り始めた。たくさんの人々がガニマールの傍を過ぎたが彼は乗客たちには興味を示さなかった。その時ロゼーヌがあらわれた。それは彼が、船を降りる順番の時だった。

 

 「わたし、まだ、ロゼーヌさんがルパンだと思っているの。貴方どうお思い?。」

 「ロゼーヌとガニマール氏が一緒の際の写真を撮影するのは、とても面白いことだと私は思います。私の手は塞がっている、これを持っていただけませんか。」

 

 私はネリー嬢にカメラを差し出した。しかしそれは遅すぎた。ロゼーヌは既にガニマールの傍を通り過ぎていた。彼では無かった!。そうすると、誰がアルセーヌ・ルパンなのだろう?。とうとう我々が降りる時間になった。しかし、我々が 10 歩も歩かないうちに、ガニマールが我々の前に歩み寄った。

 

 「貴殿、少々お時間、宜しいでしょうか。」

 

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