Employee: 落ち込まないでください、社長。そのことは忘れてしまい、今夜は飲みましょう!。
Boss: そうだな…。
E: 社員が会社を辞めて行くのはよくある事ですよ。
B: しかしカトウは私の直属で働いて居たのだ。私に責任があるような気がする。私が原因で彼は辞めたのかもしれない。
E: どうしてそのようにお考えを?。
B: うん、私はあれこれ多くを言いすぎたかなと考える。
E: なるほど。若い者は助言と小言の違いを理解しませんから。
B: そうなんだ。今では若者の考え方は変化して来たのだ。私も変わる必要があるのかもしれない。
E: あなたはそのままで素晴らしい方だと私は思いますよ、社長!。変わらないでください。
B: 本当にそう思うのかい?。
E: ええ、そう思います。ああ、グラスが空でした。次は何を飲みますか?。
B: いくらかワインを戴こうと思うよ。
E: 私もそうします。
B: 君は同じ物を頼む必要はないよ。
E: いえいえ。私は社長と一緒にワインを飲みたいのです。すみません!。
Server: はい、お客様?。
E: ワインをいただけますか?。
S: はいもちろん。フランス産の素晴らしいワインがあります。赤、あるいは白どちらになさいますか?。
E: 社長、どちらがお好みでしょうか?。
B: どれどれ見せてください…。私たちは後ほど牛肉を食しますよ、ね?。
S: 左様で御座います、お客様。
B: それなら、私は赤を戴こう。
E: 私も、赤を。
B: 言っただろう!。君は好きなものを飲め。
E: 大丈夫です、社長。私も赤ワインが飲みたい気持ちなのです。グラスを二つ、お願いできますか?。
S: ただいまお持ちいたします、お客様。
E: ああ、もう一つお願いをします。私のワインは少し冷たくしていただけますか?。
B: なんだと?。
S: かしこまりました、お客様。
B: ちょっと待て。君は冷たい赤ワインを飲むつもりなのか?。
E: 冷たくはなく、すこし冷やしたものを。
B: 冷たい赤ワイン?。何を考えているんだ?。赤ワインは室温にして飲むものだと言うことは誰でも知っている事だろう。
E: ああ…。しかし社長は私が好きなように飲んで良いとおっしゃいました。
B: そうだ。しかし、これは話が別だ。タンニンの味は冷やしてしまうと苦味になる。だから赤ワインを冷やして飲むと、タンニンがワインの味わいを壊してしまうぞ。
E: なるほど…。
B: と、いうのが赤ワインを室温で飲む理由だ。分かったか?。
S: 失礼します、お客様。一言、宜しいでしょうか?。
B: ああはい。どうぞ。
S: 一般的にそのように言われて居ます。しかしながら、今日、日本において赤ワインを飲む際には冷やして飲むのがより共通認識になってきているようです。
B: なんだって?。本当かい?。
S: ええ。ご存知のよう、日本の部屋の室温よりも欧州の部屋の室温の方がより涼しい。そういうわけで、赤ワインは少しだけ冷やした方が良いという人も在ります。
B: それは知らなかったな。
S: それでは、どのようにワインを御召し上がりますか、お客様?。
B: ああ…冷たいものを戴こうと思う。
S: かしこまりました、お客様。
B: どうして笑っているのだ?。
S: なんでも在りません、社長。
B: また私は言いすぎただろう?。みろ、カトウが退職したのは私のせいだ。
E: そうは思いませんよ、社長。あなたは変化してきていますよ!。