Hana: カズマ!。どうしてあなたのランドセルは空っぽなの?。
Kazuma: きょうは入学式だから、お母さんなにも持っていかなくていいよっていってたんだ。
H: そうなの?。教科書も持っていかないでいいの?。
K: ぼくはそれはまだもっていないよ。
H: ああ…。でも、鉛筆を持って行ったほうがいいわよ。メモを取らないといけないかもしれないわ。
K: メモ?。ぼくのためにとってくれるんじゃ無いの?。おばあちゃん。
H: おば…おばあちゃん!。こらっ、カズマ。学校で私のこと絶対に「おばあちゃん」って呼んだらダメよ、いい?。
K: どうしてだめなの?。
H: 何回もいったでしょう!。私は有名な女優なのよ!。おばあさんは私の正しいイメージとは違うの。ああ、どうしてあなたのお父さんは今日出張しなければならなかったのかしら?。
K: おとうさんは、シンガポールでとても大切な会議があるんだ!。おとうさんはぼくにそう言っていたよ。
H: うん、うん分かってる。でも私もまた同じように、新しい映画のための重要なリハーサルが有ったのよ。
K: ごめんね、おばあちゃん。
H: あなたのせいじゃ無いのよ。ごめんね、そんなこと言って。
K: おばあちゃん、リハーサルって、なに?。
H: それはね、ただの練習なの。あなたの入学式と同じようには大切なことじゃ無いわ!。あなたの人生にそれは一度しかないもの。私にはリハーサルはこれからまた何度もあるでしょう。それにどのみち、私はその準備していなかったの。
K: おばあちゃんとおじいちゃんは、ぼくのおかあさんの入学式に一緒にいった?。
H: あなたのおじいちゃん?。ああ、うん。その時にはもう、私たちは夫婦じゃなかったの。
K: それじゃあ、ちょうど今日みたいだね!。おばあちゃんとお母さんだけで、入学式にいったんだ。
H: うん…。私は一緒には式に参加できなかったのよ。
K: えっ?。
H: 私は映画の制作のためにその当時、本当に忙しかったの。あなたのお母さんの入学式も行けなかった、そのほかの学校の行事にも行けなかった。ニューヨークとか、もしかするとパリにいたんだったかも。
K: おばあちゃん!。おかあさんはまったく一人でいたの?。どうやって一人でおかあさんは行ったんだろう。
H: 私のマネージャーがそれに関する物事をやってくれたんだとおもうな。ああ、あなたのお母さんはまったくいい子だったわね!。彼女は、私の仕事を大事なことだとわかってる、って言っていたわね。彼女は理解していたわ。
K: どうして泣いているの?。おばあちゃん?。
H: ああ、カズマ。私は悪いお母さんだったとおもうな。私は自分の仕事が自分の娘よりも大切なことだと考えていたの。私、どうしてそんな風にできたのかしらね?。
K: うん、泣かないで、おばあちゃん。ぼくにとってはすてきなおばあちゃんだよ!。
H: ありがとうね、カズマ。
(電話が鳴る)
H: はい、ほんとう?。それはいいニュースね!。ご連絡ありがとうございます!。カズマ、病院からだったよ。あなたの妹が、生まれたところよ!。
K: わーい!。ぼく妹にあいたい!。
H: さて、まずは式に向かいましょう。そのあと、あなたの妹に会いに行こう。私はあなたのお母さんの入学式には行けなかったけれど、お母さんの代理であなたの入学式に行けて嬉しいわ!。
K: うん、行こう、おばあちゃん!。
H: でも覚えておきなさい、カズマ。学校でわたしのこと「おばあちゃん」って言ったらダメ!。
K: どうして?。
H: 言ったでしょう。わたし女優なの。それにわたしはまだ、49よ!。あなたのお母さんとしてでも通用するの!。おばあちゃんになんて見えないわよ。
K: はやく、おばあちゃん!。
H: はー!。