Saki: あー、ニシカワさん。なんて素敵な青空だろう!。あなたの雲はとても写実的ですね。ヤマダさん。君の木の葉、とてもいいですよ!。
Shingo: サキちゃん!。つぎは僕の絵を観てよ!。
Saki: (ためいき)ナカガワさん。この教室では、私のことはスズキ先生と呼んで下さい!。
Sh: おっと!ごめんなさい。でも僕はいつも君のことをサキちゃん!と呼んでいるから。スズキ先生、わたしの絵を観ていただけますか?。
Sa: 勿論です。さて観させてください…。うむー……。ダメですね。
Sh: えっ?。ダメってどういう意味ですか?。何が変ですか?。
Sa: 以前にも言いました。あなたの鉛筆の線は太過ぎるし色濃過ぎます。水彩絵具で描くときは、初めに描いた鉛筆の線は見えないようにしたいんです。
Sh: えー、それは知らなかったな。
Sa: あーもう!。私は何回もあなたに言いましたよ、わかりますよね。あなたの作品は水彩の下書きには見えません。塗り絵のようなものですよね。
Sh: ぬりえ、ですか?。
Sa: やり直してください。あたらしい紙を用意してください。
Sh: わかった、わかったよ…。でも今のことは僕に昔を思い出させたよ。
Sa: 思い出した?、何をよ?。
Sh: 思い出せないかい?、ぬりえ、のことをさ。サキちゃん?。君はあの時からもうすでに芸術家だったよ。
Sa: サキちゃんとは呼ばないで下さいっ!。
Sh: 君は100色以上の色鉛筆を持っていたっけね。
Sa: ああ、あれ。うん、私の両親はプロのイラストレーターだったから。だから、いつも彼らは私に良い品質の道具を与えていたわ。
Sh: 君のようにそれらを使える人は、君以外にはいなかったよ、サキちゃん。
Sa: ありがとう。
Sh: 僕は君のぬりえを家に持って帰って、君の絵を真似しようとしたんだ。だけれど、全くうまくできなかったよ。僕は出来の悪い画家だったから。
Sa: あなたはそんなに悪くはなかったわ。それにそれはただの塗り絵ってだけだよ。
Sh: わかるかな。僕は君が先月、絵画教室を始めたと聞いて驚いた!。そして僕を誘ってくれたこと、とても嬉しいよ!。
Sa: それなら、もっと一生懸命にできる?。みなさんがあなたの絵を観たら、私は下手な先生だなって思われてしまうよ。あなたはここに、ひと月居るのよ。もっとできるわよ!。
Sh: やってるんだけどねえ。どうやってそれをやるのか、見せてくれないかな。
Sa: (ためいき)うん、近くでみててね。
Sh: はい、スズキ先生!。
Sa: あなたの鉛筆の下書きには問題があります。まず初めに、鉛筆をペンのようではなくて、ナイフのようにつかんで。そのようにして、あなたの線が濃くなり過ぎないようにします。思い出してください、あなたは絵を描いているんです。あなたの名前を書いているのではありません。
Sh: わかりました。
Sa: 次に、水彩絵具を扱う際。それを水としっかりよくかき混ぜる。そうして、明るい色から描き始めてから、あなたが望む色になるまで絵の具を足していく。
Sh: わあ。とてもいい感じじゃないですか!。
Sa: 勿論です。いい感じです。わたしは良い先生ですから!。さて、あなたもやってみましょう。
Sh: よし。鉛筆をナイフのように持って、明るい色に塗り…。
(鐘が鳴る)
Sa: はーい、みなさん。今日はここまでです!。来週またみなさん会いましょう!。
Sh: サキちゃん…いや、スズキ先生!。僕の今描いた絵、どう思いますか?。
Sa: まあまあ。
Sh: まあまあ?。
Sa: うん、君は新しい趣味を見つけた方がいいよ。
Sh: サキちゃん!。