Noriko: うま!。これ本当においしいよ!。
Nao: プリン食べてるの?。ちょっと私も良い?。
Noriko: ダメ、だめよ。これは特別なプリンなの。
Nao: そのプリンの何が、特別なの?。
Noriko: うん、ソータくんがね、彼のこないだの対局で、このプリンをおやつに食べてたの。小さなひとつのお店でしか買えないの。そう言うわけで、わたしネットで注文したのよ。
Nao: 野球選手の話をしているの?。
Noriko: ううん、フジワラソータ。彼は日本において、最強の棋士の一人なんだよ。それに彼はとっても可愛いの。わかるかな、彼は対局中には真剣で、でも休憩中には満面の笑みでスイーツを食べるの。女の子はみんな、彼に夢中なんだよ。ねえ!、わたしが話してるあいだに、わたしのプリン、食べようとしないでよ!。
Nao: まあまあいいじゃない!。少しも、駄目?。
Noriko: だめに決まってるよ!。そのお店は一日に 50 個だけしか販売しないし、一つしか注文できないんだよ。わたし、8 時ちょうどに起きて、このプリン買うためにパソコンとスマホどっちも使ったんだから。ねえ、わたしのプリンにあなた近づきすぎだよ!。
Nao: 貴方、よく無いわよ!。そのプリンの話は私を、さらにそれを食べたくさせるわ!。
Noriko: もしプリンたべたいのなら、あのコンビニで買ってきなよ。
Nao: あーっ!。なら、こうしたらどう?。将棋で決めよう。もし私が買ったなら、私は貴方のプリンを食べる。
Noriko: で、わたしが勝ったら?。
Nao: 一週間、貴方のために毎朝そのプリンを私が買うわ。
Noriko: ほんとう?。
Nao: ええ、本当。
Noriko: わたし、あなたが何をしているのか、判らせてやりたいわよ。わたし、将棋おたくなんだよ!。
Nao: ええ、知ってる。
Noriko: よし、やろう!。(彼女の心の中で)私が思う通り、彼女はアマチュアのように指す。彼女は正しく駒を掴むことさえ出来やしない。そしてああ、見てよ彼女が今指した手。攻めの事しか考えていないな。彼女はもうすこし受けの事を考慮する必要があるわね。
Nao: 王手。
Noriko: なにっ?。
Nao: 私は「王手」と言ったの。私は間違ってる?。
Noriko: う…。いや、でも、でも…。待った。
Nao: 待った?。
Noriko: うん、ごめん、でもまちがえちゃったよ。この手のかわりにこうするね。
Nao: それはルール違反。
Norko: ちゃんと考えてなくって、駒をちがうマスに指しちゃったよ。
Nao: いいよ!。貴方の駒、動かしてもいいわ。
Noriko: (彼女の心の中で)ふう。ぎりぎりだったな。私は負けるところだった。落ち着こう。深く息を吸い、集中だよ…。
Nao: 王手。
Noriko: はっ?。
Nao: そして、私はもう貴方に機会を与えるつもりはありません。
Noriko: なにがおきているの?。
Nao: 私の姉弟を応援してくれて、有難うね。
Noriko: あなたの、姉弟?。
Nao: うん。ソータは私の弟なの。私が彼に将棋の指し方を教えたのよ。
Noriko: あなたが彼のおねえさん?。
Nao: 約束は約束。そのプリン、私に頂戴、今すぐ!。
Noriko: フェアじゃ無いよ!。
Nao: 勿論、それはそうね!。
Noriko: あなたわたしに彼のおねえさんって、言わなかったよ!。
Nao: 貴方が聞かなかったからよ!。
Noriko: うむむ…地震だよ!。
Nao: あ、将棋盤を揺らすのやめなよ。貴方まるで子供みたい。
Noriko: わたし、わたしのプリンをあなたには上げないよ!。