Yusei: おかあさん!。僕、どこにも見つけられない。
Mother: わたしはそれがどこにあるか、知らないわよ。あなたのパズルでしょう。
Yusei: でも僕のそばに座っていたじゃない。
Mother: わたしはあなたの側に座っていたけれど、あなたのパズルには触れていなかったわ。
Yusei: もうっ。僕はもう完成するところだったのに。一つのピースだけ無くしちゃったよ。
Mother: ラグの下、あなた探した?。
Yusei: うん、探した。でもそこにはそれはなかった。
Mother: おもちゃ箱のなかはどう?。
Yusei: もう調べたよ。
Mother: ふむむ。へんねえ。
Yusei: おかあさん。今日掃除機使ったでしょう。パズルを吸い取ったの?。
Mother: ううん。もしわたしが吸い込んだのなら、分かっただろうし。その音をきいただろうしねえ。
Yusei: ほんとう?。おかあさん掃除する時いつも音楽聴いているよ。電話の音さえ聞いてないじゃない!。
Mother: ユウセイ、あなたわたしがパズルのピースを無くしたと言っているのね?。
Yusei: もしおかあさんじゃないなら、なにが起きたのさ?。
Mother: ふうん。もし、あなたがパズルを始める前にお部屋をかたずけていたなら、それをなくすことは無かったんだよ。
Yusei: 僕の部屋はきれいだった!。
Mother: ううん。片付いていなかったよ!。だから、わたしあなたが無くしたんじゃないか、って思っているよ。
Yusei: おかあさん!!。そんなこと言わないでよ!。僕はこのパズルいっしょうけんめい取り組んでたのに、完成させられないよ…。
Mother: ああ、泣かないでね、ユウセイ。あなたはまだ 8 歳なのに、2,000 ピースのパズルを自分一人で完成させようとしていた。あなた天才よ!。わたし、あなたのこと誇りにおもうな。
Yusei: 僕、天才?。
Mother: そうよ。このパズルの題はなあに?。
Yusei: 「円周率 1,000 桁」
Mother: ほら?。わたしその意味まったくわからないわよ。数字だけのパズルを選ぶ子供なんてものは、それが天才だってことの上に成り立つのよ!。
Yusei: それと、パズルのピースはほんとに、ほんとうに小さいんだよ、おかあさん。
Mother: わかる?。あなたは素晴らしい!。
Yusei: でも僕それを完成することができなかったよ…。
Mother: わたしにまかせなさい。わたし、あなたのために失ったピースを作るわ。
Yusei: はあ?。作るの?。どうやって?。
Mother: かんたんよ。最後のピースの形状はわたしたちには判る、でしょう?。紙粘土を使うことができるよ。まずはじめに、パズルに粘土を押し込んで。
Yusei: おー。
Mother: そうして、無くしたピースの形を粘土に見ることができる。次に、その線にそってカットして、色を塗る。
Yusei: わあ、おかあさん!。おかあさんも天才だよ!。
Mother: わたしたち、天才親子チームだ!。
Yusei: なにしたらいい?。
Mother: よし、始めようね。まず、パズルに紙粘土を押し付ける。次に、ゆっくりそれを剥がす。みて?、完璧!。
Yusei: 僕、ハサミとりに行ってくる。
Mother: まだよ、ユウセイ。粘土が乾くまで待たないとね。ということで、待っている間にお風呂に入っていらっしゃい。
Yusei: いやだよ!。お風呂入りたく無い!。
Mother: でも、あなたは子供で、子供は汗をたくさんかくのよ。だから、ほら早く!。はっ?ユウセイ、止まって!。
Yusei: なあに、おかあさん?。
Mother: 無くしたパズルピース、みつけた!。
Yusei: どこ?。
Mother: あなたの靴下のうらよ!。