エンジョイ・シンプル・イングリッシュ 和訳

NHKのラジオ番組 enjoy simple english「エンジョイシンプルイングリッシュ」を和訳しています。

「Portrait」(2023 年 6 月)

 

Ryosuke: 肩のちからを抜くことはできますか?。そうです。いいですね。そしたら貴方の顎を内側に。すばらしいです!。そしてうむむ…。カメラマンじゃなくて本当に私を使いますか?。

Akiko: ええそうよ。

Ryosuke: 貴方もご存知のよう、肖像画を描くということは丸一日以上かかります。私には少なくとも2週間が必要です。

Akiko: 心配はいらないわ。私には時間は多くあるから。

Ryosuke: 分かりました。

Akiko: 私、ここにいること、とても嬉しいのよ。なぜなら、長い間このことを計画していたから。でも貴方は嬉しそうには見えないわね。

Ryosuke: ああ、いいえ。私は貴方の肖像を描けて幸せです。貴方は世界的に有名なデザイナー。私は貴方が私に依頼したことを、ただ驚くのみです。

Akiko: どうして驚くの?。貴方は偉大なアーティストよ。

Ryosuke: 有難うございます。しかし、わたしは若くて。

Akiko: 年齢は大した問題じゃないわ。貴方、自身に誇りをもちなさい。アーティストは自分の作品が世界をいつか変えると考えるべき。

Ryosuke: 分かります…。それで、アキコさん。貴方はどうしてファッションデザインを学び始めたのですか?。

Akiko: 私も嘗て油彩を学んでいたのよ。貴方のように。でもその時、ファッションに興味がでてね。それで私は一所懸命に勉強した。私はファッションのために、生きていたの。

Ryosuke: 私、存じ上げませんでした。

Akiko: 私が学生の時、日本は戦時中だったの。私達は十分に食べることができなかったから、人々は私に悪意をぶつけたわ。彼らは「兵隊さんが戦っているのに、どうしてお前は服飾の勉強をしているのだ!。」と言ったわ。それで私、うつむいていた。私、ファッションのことを考えているべきかどうか、確信が持てなかったの。そうしてある日、親友が私にあることを言ったの。彼は言ったわ。

Friend: 君はそのようなことを考える必要は無い。もし君が芸術家だというなら、誇りを持て。君の作品がいつか世界を変えるのだと、想像しろ。

Ryosuke: えっ?。その言葉って…。

Akiko: それで私、自分の夢に従うことを決めたの。私は自分の肖像を誰かに描いてもらえるくらいに、とっても有名な人になってやるって。その肖像を描くその誰かは、 私のその親友。私には分かってた。そして、ある日、私の親友は徴兵されたの。彼は約束したわ、きっと戻ってくるって。そして彼は戻ってきた。でも彼は彼の右の腕を失っていた。私は彼を見た時泣いた。でも彼は笑ってた。彼は言ったわ。

Friend: 泣かないで。私はもう一本、健康な腕をまだ持っているよ。私はまた自分の左手と一緒に絵を描くつもりだ。だから君は著名にならないと。

Akiko: そうして、私は有名になった。私は彼に何度も私の肖像画を描いてほしいと頼んだわ。でも、彼はこう言い続けた。

Frien: いや、まだ、できない。

Akiko: そうして、彼は亡くなったわ。

Ryosuke: 私の祖父と貴方に交友があったとは、私は知りませんでした。

Akiko: 知らないほうが、良かったのかしら?。

Ryosuke: いいえ。そのことが、私にできる最高のことをしてみたいと私に思わせてくれます。

Akiko: その精神よ!。貴方は彼のお孫さんね。

Ryosuke: ただしアキコさん。いい肖像を描くためには、私には2週間以上が必要です。

Akiko: 長い時間かかるかどうかなんて、私気にしないわ。私が死ぬ前に、仕上げて頂戴。

Ryosuke: わかりました、奥様。

 

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