エンジョイ・シンプル・イングリッシュ 和訳

NHKのラジオ番組 enjoy simple english「エンジョイシンプルイングリッシュ」を和訳しています。

「Lost in the Sky」(2023 年 11 月)

 

 「パラグライディング」という言葉を皆さんが耳にした際、皆さんは天気の良い日に楽しそうに空を飛んでいる人を思い浮かべるかもしれません。しかし、もし突然に嵐に巻き込まれたなら、皆さんはどうしますか?。このことは或る人物に実際に起こりました。彼女の物語を聞いてみましょう。

 2007 年 2 月、ドイツのパラグライダー、エヴァ・ウィスニエルスカはパラグライディングの世界選手権に参加するためにオーストラリアにいました。彼女はパラグライディングの経験はたったの 4 年ほどでしたが、彼女の生来の才能のために、すでに多くの勝利を勝ち取っていました。選手権の前の週、彼女は彼女のトレーニングの一環としてパラグライディングのレースに参加していました。

 その日、空はほぼ快晴でした。エヴァは離陸し、しばらくの間全ては順調でした。その時彼女の遥か遠く前方に、二つの積乱雲が一緒にゆっくりとこちらに向かってくるのを彼女はみました。それらが繋がり一緒になり、一つのとても大きな強力な嵐の雲になる可能性があるため、これは危険なことでした。エヴァは思いました。

 

「あれらの嵐の雲から、私は離れるべきだ。」

 

 しかしそれは遅すぎました。その新しい大きな嵐の雲が彼女を中へと吸い込み、彼女を高く高くと上昇させました。彼女は下降するための非常事態用の処置技術を用いようと試みましたが、それはうまく行きませんでした。実は、他に 2 人のパラグライダーたちがその嵐の雲の中に彼女と一緒に居ました。彼らのうち 1 人は脱出する事ができました。もう 1 人、中国出身の男性、は稲妻に打たれました。残念なことに、彼は生還することはありませんでした。雲の中においては気温はとても低く、小さな氷の粒がエヴァのそばを通り飛んでいました。彼女には彼女の周りいたる所に稲妻が落ちるのを聞くことができました。彼女は彼女のコーチに彼女の無線を使い連絡し、言いました。

 

「私は大きな嵐の雲の中にいる。私はどうすることもできない。」

 

 エヴァ疲労し、大気は薄く、薄くなっていきました。すぐに彼女は意識を失いましたが、彼女はなお上昇していました。彼女の GPS が彼女が 9,947 メートルまで上昇していたことを示しています。それは航空機が飛ぶ高さに近いものです!。気温は摂氏約 -50 度でした。ほとんどの人間はこのような環境から生き残ることはできません。しかし約 40 分後、エヴァは目を覚ましました。彼女はその際 6,900 メートルの場所にいました。これは未だ危険な高さでした。パラグライダーでは普段は 3,000 メートルより高くは飛びません。エヴァは衰弱しており、彼女のパラグライダーは氷に覆われていました。しかし、彼女は下降しなければなりませんでした。そうして彼女は彼女の最後の力を、彼女のパラグライダーを制御するために使いました。

 

「地上を私が見た時、それは最高に素晴らしい瞬間でした。」

 

 45 分後、彼女は安全に着地しました。エヴァは病院に緊急搬送されましたが、それほど悪い怪我は受けていませんでした。彼女のコーチと医者は、エヴァが空のそれほどに高いところに行って、生きて帰って来たということを、信じる事ができませんでした。それは奇跡のようなことでした。この事故から 6 日後、エヴァはパラグラインディングに再び参加しました。それは短い飛行でしたが、彼女は、飛ぶ事ができました。

 

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