ある日、父親と息子が彼らのろばを連れて市場へ行った。父親はろばを縄で曳いて、息子はその脇を歩いていた。彼らはこのようにしてしばらく歩いていた。その時彼らは旅人と出会った。旅人は彼らをみて笑った。彼は言った
「おまえらは馬鹿だな。どうしてろばと一緒に歩いているのだ。それに乗ればいいだろう。」
父親は暫く考えたのち、旅人の言う通りにした。彼は息子をろばの背中に乗せ、また歩き出した。
すぐにまた旅団に出会った。彼らの中の一人の男が大きな声で言う。
「あれを見ろ、父親ではなく息子がろばに乗っている。悪い息子だな。年長者がろばに乗り、若いものは歩くべきだ。なんて怠け者の息子だ。父親が気の毒だよ。」
父親は再び考えた。彼は、男の言う通りにした。父親は息子にろばを降りるように言い、そして父親がろばに乗った。
すぐにまた二人の女性達に出会った。彼女達はお互いに話しを始めたのち、そのうちの一人が大きな声で言った。
「見た?、男の子ではなくて、おとうさんがろばに乗ってるわよ。悪いおとうさんね。男の子がかわいそう。」
父親は何が正しいのか、分からない。彼は長い時間、真剣に考えた。考えた結果、二人でろばに乗った。彼らはまた進み、そして市場近くまで来た。沢山の人々が彼らを指差し始めた。父親は進むのをやめ、そのうちの一人に尋ねた。
「すみません、なにかおかしいでしょうか。」
「そうだね、弱り切ったろばがかわいそうだよ。小さな肩にお前さんと息子を背負ってさ」
そしてまた、父親は何が正しいのか、分からなくなった。皆それぞれが、父親に異なった考えを告げる。父親は新しい考えが浮かぶまで考えて考えた。
「これが正しいやりかたに違いない!」
彼らは木の棒を見つけそれをろばの足に括り付け、逆さまに吊るした。父親と息子はその棒に括り付けられたろばを肩に担ぎあげ、市場に歩き出した。人々はそれを見て笑った。
彼らが市場への橋を過ぎる時、ろばの足のうち一つの縄が緩んだ。ろばがその足を蹴り出し大きく動いたので担いだ棒から外れ、川に落ちた。ろばの足は括り付けられており、ろばは水の中で死んでしまった。
お年寄りが万事を見ており、言った。
「この事があなたにとっていい経験で在る事を望む。もしあなたが全ての人を幸せにすると試みる事はすなわち、誰も幸せにできないと言う事である。」
Please all, and you will please none.
(みんなのために行うと、誰のためにもならない。)