3人の老人のうちの一人は、頼光と彼の従者に言いました。
「我々は妖怪ではありません。我々は他の地から来たのですが、我々の妻達、子供達はこの山の奥深くに棲む一匹の鬼に攫われたのです。その鬼の名は、酒呑童子。我々は鬼と戦い、復讐を遂げたい。そのようなわけで、我々はここに居ます。あなた方は特別な方々とお見受けします。あなた方は天皇陛下より鬼の討伐の命を受けたに違いない!。我々は喜んで酒呑童子の城まで道案内をします。しかしいまは、疲れをお癒しください。」
頼光は答えました。
「ありがとう。我々は長い道を歩いて来たことで、疲れている。」
男達は彼らの荷物を降ろし、老人達のために酒を持ち出した。一人の老人が言いました。
「鬼は、酒を飲むのが大好きなので、酒呑童子と呼ばれております。酒呑童子が酒を大変多く飲んだ時には、それは眠り、目を覚ますことはありません。我々は魔力のある酒を持っています。これは、化物には毒であり、人間には薬になります。」
そうして、老人は兜を取り出して言いました。
「この兜を、貴方が鬼の首を切り落とす時には身につけてください。貴方は成し遂げるでしょう。」
そう言って、老人は酒と兜を頼光に渡しました。6人の男達はこれらは神からの授かりものだと分かっていた。彼らは泣いて、心の底からお礼を言いました。
そして、老人達は立ち上がり、6人の男達を山の上へと連れ登りました。彼らが暗い洞窟を通り抜けると、小川が現れました。一人の老人が言いました。
「この川を上るのです。あなた方は17、8歳の少女を見つけることでしょう。彼女に道を聞いてください、そうすれば彼女は答えてくれるでしょう。あなた方が鬼を討伐する助けとなるため、我々3人はあなた方と共にあります。我々は、あなた方が祈った3柱の神です。」
そしてその時、3人の老人達は姿を消しました。
6人の男達は神様達にお辞儀をし、川を上りました。神様達が言ったとおり、彼らは若い女性を見つけました。彼女は泣きながら、着物についた血を洗って居ました。頼光は尋ねました。
「君は誰だ?。そしてこの山で、君は一人で何をしている?。」
少女は答えました。
「私は鬼に攫われました。私を家に帰してくれませんか?。」
彼女は続けました。
「城の中には、私の他にも少女がいます。池田中納言の娘もおります。彼女は数日前ここに、連れ去られて来ました。鬼は少女の身体から血を絞り、酒のようにそれを飲みます。そうして、肉体をつまみのように食べます。」
頼光は少女に言いました。
「心配しなくてもいい。我々は鬼を討伐するために、そして君を家に返すためにここにいる。」