エンジョイ・シンプル・イングリッシュ 和訳

NHKのラジオ番組 enjoy simple english「エンジョイシンプルイングリッシュ」を和訳しています。

「The Nose Episode One」(2020 年 5 月 8 日 放送分)

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 昔々、宇治と呼ばれる場所にて、内供と言う名の偉い僧侶が居た。皆は彼のことを知って居た。彼の鼻のこともよく知られて居た。彼の鼻は、それが彼の顎まで下がる程に長かった。それはまるで、内供の顔の中心から下がる細長い腸詰のように見えた。

 内供は50歳を少し過ぎたところであった。そして彼は彼の鼻を、長い、長い期間、嫌いだった。彼は自身がそのことを気にして居ないように見えるように試みて居た、しかし彼は気にして居た。彼は「鼻」という言葉を聞くことさえ、好まなかった。

 

 彼が彼の鼻を好まない理由。そこには二つの理由があった。第一に、それは彼に面倒を起こすからである。彼の鼻は、彼が物を食べることを困難にしていた。弟子の僧侶は内供が食事をしている間、長い板で彼の鼻を上に持ち上げて居なければならなかった。これは易しい仕事ではなかった。一度、弟子の僧侶は内供の食事中にくしゃみをした。そうして、内供の鼻は、熱い粥の入った碗の中に落ちた。この話は、はるばる京都において人々の聞くこととなった。

 また、内供が彼の鼻を好まない理由の第二は、彼の自尊心の為である。町の皆は彼の鼻の話をした。彼らは言った。

 

「内供のあの鼻では、誰も内供とは結婚はしないだろうな。」

「それはそうだ。私はそれが、彼が僧侶になった理由だと聞いたよ。」

 

 僧侶は婚姻はできない。よって内供は妻を探すことについて煩わされる必要はないのだがしかし、内供は彼の鼻のことについて人々が話すことを、不幸に感じた。それで内供はいつも彼の鼻が短く見える方法を見つけることを試みて居た。

 ひとり鏡の前に座り、彼は工夫をしていた。彼は頭を左に回転させてみたり、右に回転させてみたりした。彼は彼の鼻を短く見せるのは、顔のどちら側かどうか知りたかった。それはいつでも、どちら側でも同じに見えた。次に、内供は彼の両手で顎を隠してみた。それもまた、うまくは行かなかった。彼はまた、彼の鼻が短くなることを期待し、長い間鏡を眺めてみることもあった。しかし勿論のこと鼻は短くは、成らない。そうして毎回、内供はその鏡を片付けてお経を読み始めるのだった。彼は結局のところ、僧侶であったから。

 

 僧侶は彼らの外見がどのように見えるか気にするべきではない、しかし内供は気にかけた。彼は他人の鼻を多く見た。内供は、彼は一人だけではないと思いたかった。彼はいくつか変わった鼻を見たが、彼のよう長い鼻は一つもなかった。彼は、他国からの仏典を読んだがしかし、他国人でも、彼のような鼻を持たなかった。長い耳をもつある者も居たが、鼻の長い者は存在しなかった。

 鏡を眺めることは何も変化させなかった。そして、彼の痛みを分かち合う者は、誰一人居なかった。そうして彼は彼の鼻を短くしようと試みた。彼はなんでも試みた。彼は漢方薬を摂ってみたり、鼠の小便を彼の鼻に塗ってみたりした。しかし、彼が何をしても彼の鼻は短くは、成らなかった。

 そして、ある秋。京都から良い知らせと共に弟子が帰ってきた。ある医者が彼に、長い鼻を短くする方法を教えたのだった。

 

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