エンジョイ・シンプル・イングリッシュ 和訳

NHKのラジオ番組 enjoy simple english「エンジョイシンプルイングリッシュ」を和訳しています。

「The Nose Episode Two」(2020 年 5 月 15 日 放送分)

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 内供が、彼の長い鼻を短くするこの新しい方法について聞いた時、彼は可能な限り早くそれを試したいと思った。しかし、内供はそれを気にしていないように振る舞った。彼は代わりに、こう話し始めたのだ。

 

「私は、私の食事のたびにお前たちが私の鼻を支えてくれて居るのは大変な事だと、知って居る。それは難しいことに、違いない。」

 

 内供はまた、こうも言った。

 

「私は、お前たちが私と私の鼻の面倒を見なければならないことが、心苦しい。」

 

 内供は、弟子たちが内供にその治療法を試させるのを待っていた。弟子たちはこの、内供の策略を判っていた。そうして彼らは、その治療法を彼らに試みさせてくれという事をなんどもなんども内供に頼んだ。最終的に、内供は同意した。

 新しい治療法は、極めて単純なものであった。彼らは鼻を茹で、そうしてそれを踏むということをしなければならない。

 

 弟子の一人が、大変熱いお湯を提に入れ運んで来た。それは熱のために内供の顔が火傷するくらいに熱かった。それで彼らは折敷に穴を開け、それを提の上に置いた。内供は彼の鼻を穴に通し入れ、熱湯の中にそれを浸した。幸運なことに、彼の鼻はどんな痛みも感じなかった。暫く後、弟子の一人が言った。

 

「鼻は充分に茹で上がったと思います。」

 

 内供はこれを聞いた時、自分自身に対し密やかに笑みを浮かべた。誰も彼らが鼻を茹でて居るとは思わなかったであろう!。彼の鼻は熱湯による痛みは無かったが、しかしそれはとても痒かった。まるでそれは蚤が彼を噛んだようだった。

 そうしてその弟子が、その茹で上がった鼻を踏みつけ始めた。彼はその両足を使った。内供は横向けになり床に這っていた。内供は弟子の足が上がり下がり、上がり下がるのを見ていた。弟子は尋ねた。

 

「お主様、痛くはありませんか?。お医者様が、大変強く踏まなければならないと申しましたので。」

 

 内供は彼の頭を横に振り、痛くはないと言いたかった。しかし誰かに鼻を踏まれて居る際に、頭を振るのは困難だ。それで彼は言った。

 

「いや、痛くはない。」

 

 それは本当のことだった。それは全く痛くは無かったのだ。実際、彼の鼻はとても痒かったので、気持ちがよかった。弟子は内供の鼻を踏み続けた。

 その時、小さな粒が内供の鼻の上に現れた。弟子は言った。

 

「よし!。お医者様はこれらの粒をとり除けと申していました!。」

 

 内供は彼の口を閉じたままであった。弟子は彼のために、彼の鼻を短くしようと、あらゆることをして居るのだということは解っては居た。しかしそれでも、肉片のよう彼の鼻が扱われる事を余り良くは感じ無かった。そして内供は、手術を受けて居るかの様に振る舞い、弟子が粒を取り除くのを見ていた。

 弟子はそうして言った。

 

「お医者様は鼻を、再び茹でよと申していました。」

 

 内供は不服そうにみえたが、しかし同意をした。彼らは内供の鼻を再び熱湯の中に浸し、それを暫くの間茹でた。そうして、彼らが鼻を取りだした時…。

 

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