Man: 綿飴だよ〜。だれか買わないかい?。あまいよ〜。しろくて柔らかい空に浮かぶ雲みたいだよ〜。ああ、ミドリ。仕事帰りかな?。僕らカラオケ大会を午後8時から始めるんだ。君も来て参加しなよ!。
Midori: いいえ。ありがとうね。
Ma: ああ、そんなに冷たくするなよ。毎年、その大会にはあまり参加するひとがいないんだよ。僕を助けてくれないか?。
Mi: 私、仕事で疲れているので。また今度にはね。
Ma: わかった…。煩わしてごめんね。
Narration(Midori): 年の今の時期、近所の男性が夏祭りのために集まる。彼らは屋台を設営し、お祭りを楽しむ。もしも私がこの通りをこのまま歩き降りていくと、また誰かが私に話しかけてくるかもしれない。私は話したい気分じゃない。だから、家まで違う道を取る。
Mi: (少年が泣いている)どうしたの?。
Boy: お母さんがいなくなっちゃったの!。
N(M): 少年は迷子だ。私は正直家に帰りたい。でも、道に小さな子を残していくことはできないな…。
Mi: 君のお母さんを探すの手伝うよ。最後にお母さんを見たのはいつ?。
B: わからない。
Mi: 君の名前は?。君、いくつ?。ああ、泣かないで…。よし、私に、君の為の綿飴買わせてね。
N(M): 私は少年の手を取り、綿飴の屋台に引き返す。
Ma: やあ、また、ミドリ!。気が変わった?。カラオケ大会に来るの?。
Mi: ごめんね、違うのよ。実は、この少年のお母さんを探しているの。彼は迷子なのよ。
Ma: ふむ。僕はこの子どこかで見たことがあると思うなあ。
Mi: 彼のことあなた知ってるの?。
Ma: この子は去年この街に引っ越してきて、食料品店の子と一緒の幼稚園に通っている、んだったと思うよ。
Mi: まあ、このご近所のたくさんの人をあなた知ってるのね。
Ma: ちょっとまって。友達に電話するよ。彼が助けてくれるかもしれない。
Mi: この人、あなたのお母さん探してくれるって!。
B: ありがとう。おねえさんこのへんにすんでるの?。
Mi: そうよ。生まれてからここにずっと住んでる。ここの多くの人を知っているわ。
B: でもぼくのこと知らなかった。
Mi: えっ?。
B: パン屋のコウスケしってる?。
Mi: パン屋?!。
B: 花屋さんのユカは?、クリーニング屋さんのシゲルは?。
Mi: うむむ…わからない。私知らないわ…誰も。
B: ほんとうにここに住んでる人?。
N(M): 少年の言葉は私を熟考させた。私が生まれてからここに住んでいると言うのは本当のことだ。しかし、わたしはここの人たちと長い間会話していない。それを改める時なのかもしれない。
Ma: おい、ミドリ!。その少年の母親、見つけたよ。彼女はあそこの、人混みの道で少年を探していたんだ。お母さんはすぐここに来るよ。
Mi: やった!。うーん、あなた、カラオケ大会は8時ちょうどからって、言ったわよね?。
Ma: そうだよ。どうして?。
Mi: わたし、行くわ。
Ma: ほんとう?。わあ、ありがとう!。おいみんな、聞いたか?。ミドリがカラオケ来るってよ!。
B: あ、みて!。おかあさんだよ。ありがとう、ミドリさん!。
Mi: ううん、どういたしまして。ありがとう!。
B: ありがとう?なにに?。
Mi: ここのみんながどんなに素晴らしいか、私に思い出させてくれたことに。