エンジョイ・シンプル・イングリッシュ 和訳

NHKのラジオ番組 enjoy simple english「エンジョイシンプルイングリッシュ」を和訳しています。

「Run, Melos! Episode Three」(2020年04月17日放送分)

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Melos: お前ら、何をする。私は日没前に城に戻らねばならぬ!。

Narrator: メロスは山賊達に囲まれた。

Robber: 我々にお前がもつ全てを渡せ。

M: 私は何も持たぬ。自身の命のみだ。それでさえ王の物だ。

R: お前の命こそ、我々が欲しい物だ。

M: なんだと?。待て、私を殺すため、王がお前達を送ったのだろう?。

N: 山賊は答えなかった。彼らは彼らの棍棒をメロスを打つために挙げた。しかしメロスは一人の賊を打ち倒し、彼の棍棒を奪った。

M: すまぬ。しかし私はこれを為さねばならぬ。

N: メロスは三人の賊を討ち、そうして逃げ出した。午後はとても暑かった。それはメロスを大層疲労させ、弱らせた。直ぐに彼はそれ以上走ることが出来なくなり、倒れ込んだ。彼は起き上がろうと試みたが、出来なかった。メロスは空を見上げ、言った…。

M: 私は、流れの速い川を泳ぎ渡り、山賊に対峙して戦いさえした。分かる、私は未だ走れる。もし、私がそれをしなければ、私の最愛の友人、セリヌンティウス、は、私を信じたばかりに死ぬだろう。そのことが、王が欲したものである。

N: 満身創痍の際には精神もまた、弱くなる。強靭なメロスでさえも、弱い気持ちを持ち始めた。

M: 私は私の約束を守るために、最大限を尽くした。私はそれ以上走れなくなるまで走った。私は悪人では無い。しかし、私は確信する。皆が私を笑うだろう。私の家族も、笑われるだろう。

N: メロスは自分自身との対話を続けた。

M: 王は私に、遅刻せよと言った。王は、もし私が遅れたなら私を救うと言った…。私はそのような事を宣う彼を嫌悪するがしかし、そう成るのかも知れない。王は私を笑い、私の生命は救う。しかしそれは死より、さらに悪い事である。セリヌンティウス、君は一人では死ぬことは無い。私は君と共に死ぬ。少なくとも、君が私を信じている事を私は知っている。いやしかし、待てよ…。

N: メロスは違和感を感じ始めた。

M: 私は人を信じて居るという、ただ一人の人間なのかもしれない。正義、真実、愛…。考えてみると、それらは稚拙な言葉である。長い期間、人類は生きるため互いを殺してきた。ならば何故私はそれをし無い?。私は邪悪な者だ。私は何事も、誰も構わない。

N: メロスは諦め、地面に横になった。彼の眼は閉じ始めて居た。そのとき、メロスは水の音を聞いた。彼はゆっくりと起き上がり、彼の足元近くの岩から湧き出る泉を発見した。彼は幾らかを飲み、深い息をついた。それは、夢から醒めた時のようであった。

M: 私は、今は歩けると思う。

N: メロスは力が戻るのを感じた。希望もまた、力と共に戻った。

M: 日没の前には未だ時間は在る。己の命については私は、構わない。私は純然に私を信ずる誰かとの、私の約束を守る事のみ気にかける。私は走らねばならぬ。走れ、メロス!。

 

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