Narrator: メロスは道を歩く人々を押し分け、黒い風のよう走った。彼は原を横切り、小川を飛び越え、沈む太陽の十倍速く走った。そのとき、メロスは旅団の会話を、聞いた。
Traveler: 僕は、その男はすでに十字架に掛けられて居ると思っているよ。
N: その事は、メロスを更に速く走らせさえした。彼の衣服は殆ど剥がれて居た。彼は呼吸をすることが出来なかった。彼はひとたび以上、喀血した。そのとき遠くに、メロスは城楼を見た。彼はそこに到着するところだった。その瞬間、誰かが彼に会いに来た。
Young Man: メロス様!。私は貴方様の友人、セリヌンティウス様の弟子です。
M: 何者ぞ。
Y M: 走るのを止めるべきです。今や、セリヌンティウス様を救うことは不可能なのです。
M: いや、太陽は未だ空に在る。
Y M: しかし、貴方様はご自身の生命について考えなければなりません。
M: 私の命は重要なものでは無い。私は、戻ってくるという約束を結んだ。
Y M: セリヌンティウス様は同様のことを仰りました。刑場にセリヌンティウス様を連行したのち、王は私の師を馬鹿にしました。しかし、師は言いました。「メロスは来る」と。
M: それで、私は走らなければならない。彼は私を信じて居る。遅すぎたかも知れない。しかし、それは重要な問題では無い。私はなにか、より大きなものを守るため走り続けて居る。
Y M: メロス様、私には貴方様の言っていることが理解できません。しかし、走らねばならぬなら、走れ!。
N: 太陽がほぼ沈むとき、メロスは刑場に到着した。彼は成し遂げた!。しかしその時、彼は兵士達がセリヌンティウスを十字架に縛るのを見た。彼は彼の最後の力を集めて、群衆の間を走り抜けた。
M: 待て!。彼を殺してはならない。私が戻った。私はここだ。
N: メロスはセリヌンティウスの元へ駆け上がり、彼の足元を掴んだ。群衆は喝采を送った。セリヌンティウスは解放された。メロスは彼の眼の涙と共に言った。
M: 私を殴れ、セリヌンティウスよ。たった一度だけ、私は悪い夢を見た。もし君が私を殴らなければ、私は君の友人で在る権利を持たない。
N: セリヌンティウスは全てを察した。彼はメロスを、音が一面にこだまする程、強打した。そうして、彼は微笑みながら言った…。
Selinuntius: そして今、君が私を殴る番だ。私にもまた、君を信じることが出来ない瞬間が在った。それは一度だけだ。それはしかし、私の生涯に於いて、君を信じなかった初めての機会だ。君もまた、私を殴らなければならない。
N: メロスは彼の友人の頬を打った。そうして、彼らはお互いに抱き合った。
M: ありがとう、友よ。
N: 王は群衆の背後よりこれを見て居た。王は近づき、彼らに告げた。
King: お前達は私に教えてくれた。お前達二人は、人はお互いに信じることが出来るのだという事を示してくれた。わたしの友人と成ってはくれまいか?。
N: 群衆は大きな歓声を上げた。そのとき、一人の少女が現れ、メロスに赤いマントを掛けた。メロスはどうしたことか理解できなかったので、セリヌンティウスは言った…。
S: メロス、君は一糸纏わない。この可愛らしい少女は、君の姿を皆に見られるのを望まないのだ。
N: 勇者メロスの顔は、赤らんだ。
おわり。