Akito: 見てよ、ベン!。この景色はモネの絵画みたいだ。
Ben: モネ?。
A: フランスの画家だよ。このミルキーブルーの色は素晴らしい。なぜ青沼、青い池、と呼ばれるのかが、僕には理解できるよ。
Narration(Ben): ぼくはベン。アキトとぼくは福島県の五色沼と呼ばれるところにいる。それは裏磐梯地域にある。アキトは普段よりこうふんしている。なぜだかは分かるな、とぼくはおもっている…。
A: 僕は、明日は東京に居られるということがとても嬉しいよ!。ベン、君も興奮しないかい?。
B: そうだね…。
A: 僕らはいつも君が選んだ場所に向かってきた。今度は、僕の選ぶ番だよ!。
B: ぼくらはいい時間を過ごしてきたよ、ちがうかい?。まあとにかく、どうしてきみはそれほどまで東京に行きたいんだい?。
A: なぜなら、そこには沢山の人がいるから。より多くの人たちが僕らを観て、僕らはより多くの投げ銭を稼げる。わかるだろう、僕らは残りのお金を多くは持っていないんだよ。
B: 金、金、金。きみはお金の事しか考えていない!。お金よりも大切なものは人生においてたくさんあるよ。
A: 僕の考え方についてとやかく言わないでくれよ。
Old Woman: ごめんなさい。もうすこしお静かにお話願えませんか?。
N(B): ぼくは後ろをみる。そして、おばあさんが立っているのをみる。彼女は微笑んでいる。
O W: 皆は、景色を堪能して、楽しい気持ちになるために五色沼を訪れます。けんかをするためではありません。
B: ああ、ぼくたちごめんなさい。
N(B): おばあさんはぼくらに、彼女がかつてここのネイチャーガイドとして働いていたということを、話してくれる。
O W: 1888年、会津磐梯山の噴火が在りました。そして五色沼ができました。川が切れ、湖や沼になりました。五色、は「五つの色」という意味です。そしてお二人が見たように、ここの沼はそれぞれ異なる色を持っています。ほとんどは青色ですが、赤いものや緑色のものも、在ります。
B: ワオ!。それらを見るのをぼくは待つことが出来ないよ!。
O W: 一番大きいものは、毘沙門沼と呼ばれて居ます。そしてそこでは手漕ぎのボートを借りることが出来ます。磐梯地方には300以上の湖沼があるんですよ。
A: 300?。
O W: そうなんです。川の流れが止まった時、氾濫で亡くなった村人も居ます。
B: ほんとうですか?。
O W: ええ。500人近くの方々が亡くなりました。
A: ああ、だめだよ!。僕は、ここでそのように悲しい事が起こったのを知りませんでした。けんかをしてしまいごめんなさい。馬鹿げた事でした。
O W: ああ、いいんですよ。自然はこの美しい沼を創りました。そのためにお二人のような若い方がここを訪れます。それは奇跡だと、わたしは思います。
A: 奇跡、ですか?。僕が奇跡ですか?。
B: アキト、おばあさんはきみ自体が奇跡だという意味では言ってはいないとおもうよ…。
O W: それで、お二人は学生さんですか?。
B: ちがうんです。ぼくらはストリートパフォーマーなんです。
A: 僕らはよりよい芸をするために、日本中を旅しているんです。
O W: それは、素晴らしいですね!。
B: ぼくらの芸、観てみたいですか?。
O W: 是非、観てみたいです!。
N(B): アキトとぼくはパフォーマンスを始めた。おばあさんはたった一人の観客だ。
O W: とても素敵でした!。それで、おいくらお二人にお支払いすればいいでしょう?。
A: ああ、これは僕らにとっても奇跡みたいな特別な事でした。だからお代は必要ないですよ。
B: ワオ!、アキト。きみは変わったな。
A: ベン、シーっ!。
O W: ありがとうございます。でも、悪いから、このバス乗車券をお二人にお渡しさせてください。日本巡りの旅に使えるかもしれませんね。
A: ありがとうございます!。
B: ぼくらは五色沼のこと、きっと忘れないだろう。