エンジョイ・シンプル・イングリッシュ 和訳

NHKのラジオ番組 enjoy simple english「エンジョイシンプルイングリッシュ」を和訳しています。

「A Bunch of Grapes Episode One」(2020 年 7 月 3 日 放送分)

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 私が子供だった頃、私は絵を描くことを愛していた。私の学校は横浜の山手と呼ばれる場所に在った。そこにはそこに住む、多くの外国人が居た。そして、私の学校の教師の殆どが外国人であった。私が学校に通った道には、多くのホテルと外国の企業があった。わたしの学校までの道は、明るい青い海のほど近くだった。そして、そこでは多くの船を見ることができた。煙が煙突からでていたり、船の高く上に彼らの国の旗がはためいていたり。それは色とりどりの風景であった。とても色鮮やかで、私の眼は痛いくらいであった。

 私はいつも、その私が見た色鮮やかな美しい、明るい景色を絵に描いてみようと試みた。しかし、私の青は私が見たその青とは同じにはならなかった。赤もまた同じようにはならなかった。この二つの色は、私の絵とは、正確に同じに見えることはなかった。

 

 そうして或る日私は、海外製の絵具を持っている、学校の友達を思い出した。彼の名はジムであり、彼は外国人だ。ジムはとても良い品質の絵具、軽い木製の箱に入っている12色入りのものを持っていた。それらすべての色が、美しかった。しかし、彼の青と赤は、特別に美しかった。ジムは私より2歳年上で、また私よりも背がずっと高かった。彼は絵があまり上手ではなかったが、彼が彼の絵具を用いるときには、彼のあまり上手ではない絵がいくらかよく見えるのであった。私はとても羨ましかった。もしも私があの絵具を用いたなら、私の絵はどのように見えるのであろうと私は想像するのであった。その日より、私はジムの絵具が堪らなく欲しくなってしまった。

 

 いつのことだったか私は思い出せないのだが、秋だったにちがいない。葡萄が食べるのには丁度よかったことを覚えている。或る晴れた日、我々は先生といつものよう弁当を食べていた。皆は美しい秋の気候を楽しんでいたが、しかし私は寛げなかった。私の心は晴れた空とは反対の方向に在った。それは暗く、落ち込んだものであった。私はジムの絵具以外の事柄を考えることが出来なかった。私はそれを、本当に欲しかったのだ。

 その時期、私は可愛らしい少年であった。しかし私の身体は弱く、そして心も弱かった。私は、内気すぎて自分の考えを話すことが出来なかった。それゆえ、私にはあまり友達が居なかった。その日、私の級友達は昼食後に外に遊びに行った。しかし、私は教室に残った。暗く悲しい気持ちであったからだ。太陽は明るく表を照らしていた。しかし、教室は薄暗く、ちょうど私の心のようなものであった。私は自分の席に座りながらしかし、私の眼はジムの机を見続けていた。私は彼の机を開ける想像をした。そこには教科書や雑記帳、そうしてあの木製の箱があるのだろう。青と赤の絵具は、その箱の中にある…。私は自分の顔が赤く変化するのを感じた。それで、私は自分の眼をジムの机から逸らしたのだが、しかしそれは短い時間だけだ。私はジムの机を見ないでいることが、出来なかった。

 

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