エンジョイ・シンプル・イングリッシュ 和訳

NHKのラジオ番組 enjoy simple english「エンジョイシンプルイングリッシュ」を和訳しています。

「I Am a Cat Episode Two」(2020 年 9 月 放送分)

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 私の主人は教師だった。彼が学校から家に帰って来た後、彼は彼の全ての時間を彼の学習のために費やす。家の中の全ての人間たちは、彼のことを大変な勉強家だと考えていた。しかし、彼は彼の本の上に頭を乗せ寝ていた、というのが真実だ。その事は私に、教師という物は楽な人生なのだなという事を思わせた。私がもし人間だったのなら、私は教師にと成るだろう。

 私の主人は全てのことに不器用だ。しかし、なんでもが好きだ。だから、彼は俳句も試すし、新体詩、英語、洋弓、バイオリン等々…。彼はどれにも決して上手では無いが、とても熱心に試みた。私がこの家にきて一月が経った際、私の主人は大きな包みを持ち家に駆け帰って来た。彼は幾らかの水彩絵具、筆、紙を買って来たのだ。彼は絵画を始めるのだと言う。そうしてその日より、彼は毎日長いこと絵を描くのだった。しかし、私の主人の絵画を見た際に、それが何を描いた物か判る人間は居なかった。私の主人もまた、自身が良い画家だとは決して思っては居なかった。或る日、私は彼が彼の友人と話しているのを聞いた。

 

Master: 人は他人が絵を描いているのを見た際、それはそれほどむづかしい物だとは思わない。しかし人はそれを自分自身で試すと、それを簡単には行えないね。

Friend: 始めは上手では無いのは普通のことだ。また、室内に篭り、想像力だけを用いて絵を描くことはできない。アンドレア・デル・サルトという名のイタリアの偉大な画家は嘗てこう言ったよ。”もし絵を描くのなら、自然を在るがままに描くのだ。星々は空に在り、鳥は飛んでおり、獣は走っている。自然それ自体が、ある一つの大きな生き生きとした絵画なのである。” と。もし君が良い絵描きになりたいと言うなら、外へ出て写生をしてみたら。

 

 私の主人は彼の友人の応えに感心を受けた。しかし、私は主人の友人の眼に、嘲笑を見た。彼は私の主人を揶揄っていたのだ。

 

 明くる日、私は縁側でいつものよう、快適に睡眠していた。その時、私の主人が私の背後で何事かしているのを感じた。私は眼を少しだけ開き、彼が私のスケッチを描いているのを見た。それには可笑しみが在った。私の主人は彼の友人の勧めに従っていたのだ。

 私は務めて良い猫になり、彼のために微動だにしなかった。しかし、私は長い昼寝の後であり、身体を伸ばしたかった。暫く後、私はそれ以上我慢できなく成り、伸びをした。そして、用を足しに家の裏へ行く事を決めた。その際、私の主人は大きな失望と怒りを込めた大きな声で言った。

 

「馬鹿者。」

 

 私は人類は、人であること、とその自身の能力に対し過剰に慢心しすぎていることを理解していた。人類は彼ら自身よりもより、優れた能力を持つ何かに出会う時が来たのだ。そうしなければ彼らの愚かな態度は留まる事を知らないだろう。

 私は彼らの我儘を赦すことはできるとは思う。しかし、人類に関して更に悪く悲しみのある物事を私は、聞いたことがある。

 

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