エンジョイ・シンプル・イングリッシュ 和訳

NHKのラジオ番組 enjoy simple english「エンジョイシンプルイングリッシュ」を和訳しています。

「How Night Came ~Folklore from Brazil~」(2023 年 2 月)

 

 これはブラジルのお話しです。長く、長く昔。世界が作られたばかりの頃、そこには夜が存在しませんでした。太陽はいつも空に在りました。

 ある日、海蛇の王の美しい娘がある男と結婚しました。彼女は深く暗い海の国から夫と暮らすために大地に移りました。彼らは一緒に暮らしとても幸せでしたが、一つ問題がありました。彼女が新しく住む場所はいつも明るいため、彼女は眠ることができなかったのです。すぐに彼女は病気になりました。彼女の夫は尋ねました。

「何か具合がわるいのかい?。」

「私は眠れないのです、あなた。ここは明るすぎて。私の元居た場所は暗かった、そして私はよく眠れました。」

「暗い、というのは何だい?。」彼は尋ねました。

 彼女は悲しそうに笑い、言いました。

「暗いというのは、明かりが存在しない時のことです。」

 その夫はそれを聞いても暗いというものが何か理解できませんでしたが、彼は彼の妻がそれを必要としていることは分かりました。

 そしてその夫は彼に従事する兵士のうちもっとも優秀な三名を呼びました。

「お前たちは海蛇の王の城へ向かい、王に彼の娘が暗さというものを必要としていることを伝えよ。もし彼女がそれを得ることができなければ、彼女は死んでしまうかもしれないと伝えよ。」

 

 その兵士たちは直ちに向かい、長く危険な旅の後、彼らは海の城に辿り着きました。一人の兵士が王に言いました。

「陛下の御息女が暗さを必要としています、それがなければ御息女はお亡くなりになられるでしょう!。」

 その王は暗さでいっぱいになった大きな袋を彼らに与えました。王は言いました。

「ここに、この袋を私の娘のところへ持って行ってあげてくれ。」

 しかしその帰り道、三人の兵士たちはその袋から聞こえてくる不思議な音を耳にしました。それは夜の動物たち、鳥たち、虫たちの音でした。それらは彼らが以前に聞いたことのない音でした。彼らは大変に恐ろしくなりました。

 一人の兵士が言いました。

「この袋を捨て、逃げよう!。」

 二人目の兵士が言いました。

「我々は死んでしまう!。」

 しかしそれに三人目の兵士が言いました。

「もし我々が死ぬのであれば、この袋の中が何なのかを知りたい。開けよう。」

 そして彼らはそうしました。その時、その袋から全ての夜の動物、鳥、虫たちが闇と共に飛び出しました。

 遥か遠く城にて、海蛇の王の娘が窓のそばに立っていました。彼女は闇がその袋から出てくるのを見ました。闇は素早く全ての場所に広がりました。彼女は嬉しくなり叫びました。

「とうとう、暗くなった!。」

そして、彼女は笑みを顔に浮かべ、眠りにつきました。

 彼女が起きた時、以前よりもさらに美しくなり健康を感じました。彼女は言いました。

「私はこの暗い時間を夜と呼び、明るい時間を昼と呼ぶつもりです。」

 人々はすぐに、昼を愛するように夜のことも愛するようになりました。

 

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