Dad: ナオ、カメラに向けて笑って!。ああ、どうかしたの?。お腹が痛いの?。まだ眠いのかな?。
Nao: ううん。
Dad: ああ、わかった!。君は君のお母さんが恋しいんだね。彼女はここへ来たがっていたよ。でも彼女は今病気で、病院を出ることができない。心配しないで、君のお母さんが君の、小学校第一日目のこの写真をみたとき彼女は、良くなるだろう。だから笑って、ナオ!。
Nao: いやだよ、お父さん。わたし、わらいたくない。
Dad: どうして嫌なんだい?。
Nao: わたしのランドセル…。
Dad: ランドセルが、何だい?。
Nao: わたし、わたしのお友だちのサラにこれをみせたの。そしたら彼女はそれ、へんなのって言ったの。
Dad: 本当かい?。
Nao: 彼女は赤いのなんて、だれもかわないって。
Dad: そんなことは無いよ。
Nao: 彼女はいまは、みんな青や、紫、それにピンクのをもっているって。彼女は、赤をえらんだわたしは、へんだって。
Dad: そう言う訳で、君はとても落ち込んで見えるのかい。それならじゃあ、お店に行って、違う色の物を買いに行くのはどうだい?。
Nao: いやだ!。わたし、このランドセル、お母さんといっしょにえらんだの。わたし、これをつかいたい。
Dad: なら、それに胸を張りなさい。
Nao: でも…。
Dad: 他の人がどのように考えるか、君は気にする必要は無い。私はいつでも君を支えるつもりだよ。
Nao: うん、お父さん。
Dad: よし、じゃあ、写真を撮ろうよ。チーズ、って言って!。
* * *
Dad: この写真を見てご覧。これは16年前だと、私は信じることができないよ。
Nao: お父さん、何しているの?。急いでよ!。
Dad: はい、はい、行きますよ!。
Nao: どうして私達、玄関でいつも写真を撮るの?。
Dad: そうすると君がどの位成長したか、私には分かりやすいんだよ。写真を撮影する準備は良いかい?。
Nao: 待ってね。
Dad: どうしたの?。
Nao: 私、この紺のスーツを着るべきか、決められないのよ。就職活動の間にいつも着ていた、黒いスーツにするべきかも。
Dad: どうして、今そんな話を君は?。
Nao: 初出社の日よ。式典が在るの。前の黒いスーツのほうが良いのかもしれない。
Dad: しかし、この紺のスーツは君に私が送った物だよ。だから、今日これを着ても良いんじゃ無いかな。
Nao: うん、私は有難うと言いたいよ。でも人は、真新しい紺のスーツを着ることで、私が他と違うところを見せようとしていると、考えることもあるかもしれないよ。
Dad: 私はそうは思わない。もし私が君の上司ならば、私は、人と違う考えを持つ人物を得られることを楽しく思うだろうね。
Nao: お父さん。一つ質問をしてもいい?。
Dad: ああいいよ。
Nao: お父さんは今まで、企業の中で働いたことは、在る?。
Dad: 無いね。
Nao: 無いの?。
Dad: 私はずっとフリーランスのフォトグラファーだった。
Nao: それなら、職場で働く人たちのこと、お父さんは理解できないよ。
Dad: ふむむ…。それなら君は、私の助言は必要有りません、と言っているのかい?。私は今まで何時も君の考えを尊重し、君を何時でも支えて来た。君は働き始める。だからもう、私の支えは君には必要がないんだ…。
Nao: ああ、お父さん。私、そのような意図をしては、無いよ。
Dad: 大切な君。君は天国で聞いていますか?。ナオには私の支えがもう、必要ないそうだよ。
Nao: お父さん、お母さんにそんなこと言わないで。お父さんが全部一人で私を育ててくれたこと、私本当に感謝しています。感謝しきれない。
Dad: 本当かい?。それならこの紺のスーツを今日着ていくかい?。
Nao: そうする。
Dad: それはいい!。さて、カメラに向かって笑って!。チーズって言って!。