頼光と彼の従者は、酒呑童子がどこに棲んでいるのかを少女に尋ねました。少女はとても喜びました。彼女は言いました。
「これは夢に違いありません。鬼の城へどのようにたどり着けばいいのかを、私がお話します。」
彼女は説明を始めました。
「この川をお上りください、その後、鉄の門をあなた方は見るでしょう。そこには何匹かの鬼の門番がいるはずです。あなた方はその鬼達を避ける方法を見つけねばなりません。門の内側に入った際には、財宝に彩られた城を見ることになりましょう。酒呑童子は昼も夜も酒をのんでいます。また、4匹の鬼に見張られた牢獄もあります。少女達はそこに居ます。その見張りの4匹はとても強いと私は聞いています。酒呑童子は背が高く、子供のような短い髪と赤い皮膚を持っています。昼の間は人間の様で居ますが、夜の間はそれは変わります。酒呑童子は、恐ろしくて私には説明できない何者かに、変化します。酒呑童子を退治してください!。」
頼光と彼の従者は川に沿って歩き、そして鉄の門を見た。門番は6人の男達を見て思いました。
「我々はしばらくの間、人間共を喰っておらん。さて、彼奴らを喰おうか!。」
しかし、門番の一人が言いました。
「我々は大王様に報告すべきだ。もし大王様の許可が在ればそのとき我々は、彼奴らを頂戴するとしよう。」
そうして、門番は酒呑童子に報告しに行きました。酒呑童子は言いました。
「ふむ。面白い。私は彼らに会ってみたい。彼らをここへ、通せ。」
6人の男達は部屋に連れてこられました。嫌な匂いのする風が吹き、稲光がひかり、雷鳴が轟きました。酒呑童子は、現れました。それはほんとうに大きな、赤い皮膚を持つ、鬼でした。酒呑童子は、絢爛たる柄の着物を纏っていました。酒呑童子は言いました。
「鳥や獣でさえ、ここへは来ない。なぜここにお前達が居るのか、言え。」
頼光は答えました。
「我々は山伏です。我々は山にて修行します。我々は出羽国の出身の者ですが、大和国の吉野山にて修行していました。我々は都に行きたかったのですが、道に迷ってしまいました。大王様にお目見えすることができるとは思ってもみませんでした、童子様。しかし、万物全てのものには理由があると言います。少しの間私どもの体を休ませていただけないでしょうか?。我々はいくらか酒を持っています。大王様と一緒にこれを飲みたいと切望します。今晩は飲み明かしましょう。」
酒呑童子はこれを聞き、言いました。
「お前達は危険な者たちではないようだ。こちらへ参れ。」
そうして、6人の男達は近くに寄りました。
酒呑童子は、彼らを試そうと思いました。酒呑童子は言いました。
「我々にも、いくらか酒がある。おいおまえ!、お客様に酒を持て。」
1匹の鬼が答えました。
「はい、大王様!。」
そして鬼が、酒のように少女の生き血を、杯に注ぎました。酒呑童子は頼光に差し出しました。頼光は生き血を飲み干しました。酒呑童子はそして言いました。
「次の者に、杯を。」
そうして、次の者は杯を受け取りそれをまた、飲み干しました。