Natsumi: フユミ、あなたのスマホのあのキーホルダー、なあに?。
Fuyumi: エンジョイZマン。子供達全員がこのテレビ番組を観てるのよ。彼はみんなのヒーロー!。
Natsumi: お子さんがあなたにあなたのスマホにそれを取り付けるように頼んだわけ?。彼はもうすぐ6歳、だよね?。
Fuyumi: そうそう。彼は来年小学校に入学するの。でも、違うよ。彼が私にそれをスマホに取り付けさせたんじゃないの。私自身、その番組見るのよ。
Natsumi: ええ?。
Fuyumi: 私の息子はね、電車と飛行機が好きなの。彼はアニメヒーローには興味がないのよ。
Natsumi: そうか。私、あなたがアニメ好きだとは知らなかったな。
Fuyumi: それはただのアニメじゃないのよ。エンジョイZマンはね、世界征服を目論む悪の組織と戦うの。彼はいつもこう言うわ。「自分自身をエンジョイさせることを忘れるな。」ああああ!。
Natsumi: あなただいじょうぶ?。
Fuyumi: もちろん、私は大丈夫よ。彼の言葉が私の心をとろけさせるのよ。
Natsumi: なるほどね。でも、それは子供のための番組、なんでしょう?。
Fuyumi: うんそうよ。それは本当によくできた作品で、大人さえも楽しめるのよ。今やファンである両親がたくさんいるわ。
Natsumi: あなたはどういう訳でそんなにその番組が好きなの?。
Fuyumi: その声。
Natsumi: 声?。
Fuyumi: 全ての声優さんたちが信じられないくらいに良いのよ。でもエンジョイZマンはユウタさんに演じられているんだけれど彼は日本で1番の、いや、世界でいちばんの最高の声優さん!。
Natsumi: 彼はそんなに良いんだ?。
Fuyumi: そうよ!。あなた、女性の気持ちは人生において4回変化するって話、知ってる?。
Natsumi: それは知らなかったな。
Fuyumi: うん、少女たちが若い時、彼女たちはハンサムな彼氏を求める。でも彼女たちが歳を重ねると、おんなじものに興味を持つ相手を探すの。いい会話を持てるってことは、ルックスよりも重要なもの。
Natsumi: ええ…。
Fuyumi: そうして、お金が重要なものになる。あなたわかるわよね、生活のため、家族を養うため、などなど。
Natsumi: お金が絶対的に重要なものよ。
Fuyumi: それはそう。でね、最後の要因は声。あなた、彼らの声を聞いたら恋に落ちるわよ。
Natsumi: ほんとう?。
Fuyumi: もしあなた、朝起きて素敵な声で「おはよう、ナツミ」って言われたなら、最高に幸せじゃない?。
Natsumi: まったくわからないよ。
Ono: やあ、ナツミ!。ここで何してるの?。
Natsumi: ああ、ユウタ。あなたこそここで何を?。
Ono: 僕は近くのスタジオで録音しているところ。で、ちょっと休憩なのでコーヒーを買いに出かけたんだよ。失礼、ナツミのお友達にご挨拶してなかった。
Natsumi: こちらは、フユミ。私たち、大学以来のお友達なの。
Ono: こんにちは、フユミさん。私はオノユウタと言います。ナツミのいとこです。
Fuyumi: 何が起こっているの?。オノユウタ、さん?。エンジョイZマンの声じゃない!。
Ono: ああ、私をご存知ですか。ご存知なら私は大変嬉しいです。「自分自身をエンジョイさせることを忘れるなっ。」
Fuyumi: あああああ!。わたしはこれを信じることができないっ!。
Natsumi: 落ち着きなさい、フユミ。
Fuyumi: どうしたら落ち着けるのよ?。オノユウタさんが、あなたのいとこ?。どうして私に言ってくれなかったの?。
Natsumi: 彼が声優だとは私知っていたけれど、私、あなたが彼の話をしているとは知らなかったのよ。
Fuyumi: うむむ…。わたしのために、「おはよう、ふゆみ」って言ってと頼んでも、いいですか?。
Ono: おー…ああああ…おはよう、フユミ。
Fuyumi: ああああああ!。