むかしむかし、貧しい若者が暮らして居ました。彼の母親と父親は二人とも亡くなって居ました。そうして、彼は一人きりでした。
「僕は、ここを後にし、新しい人生を始めようと考える。」
彼の家の中には、幾らかの藁、以外に何もありませんでした。
「ただの藁だけれど、一緒に持って行こう。それが私の持つ全てだ。」
若者は山の麓の道に沿って歩き始めました。そのとき、彼は炭をつくる男を見かけました。
男は言いました。
「その藁を売ってはくれないか?。この炭を結ぶのに幾らかの藁が必要なんだ。」
若者はいいました。
「もちろんいいですよ。でも貴方は私にお金を払う必要はないですよ。この藁、どうぞ!。」
それを聞いて、男は言いました。
「いや、いや。只でそれを受け取るわけにはいかないよ。幾らかの炭を持っていってくれ。」
「わかりました。ありがとう。」
そうして、若者は幾らかの炭を得て、歩き去りました。
しばらくのち、彼は鍛冶が刀を作っているのを見ました。刀鍛冶は言いました。
「おい!、それは炭か?。」
「はい、そうです。」
「それを売ってはくれまいか?。私は刀を作っている。ほとんど終わるところなのだが、火を保つのにもう少しの炭が必要なのだ。」
若者は炭を刀鍛冶に与えて言いました。
「もちろん、どうぞ。炭は只でお使いください。」
刀鍛冶は嬉しそうに言いました。
「ありがとう。お金が必要で無いのなら、刀を持て。どれでも好きなものを持っていけ。」
「大変ありがとうございます。これを頂戴します。」
若者は小刀を取り、再び歩き始めました。
しばらくのち、彼は馬に乗るお侍に出会いました。お侍は若者の刀を見て。
「おい、おまえ!。お前の小刀はとても良いものだ。それを私に売ってはくれまいか?。お前は幾ら欲しい?。」
「貴方に渡します。この刀は刀鍛冶が私に、只でくれたものです。まず始めに、私は幾らかの藁を持って居ました。それを男に渡し、彼は私に炭をくれました。私はその炭を刀鍛冶に渡し、彼は私にこの刀をくれました。そういうわけで、貴方は私には何も払う必要はないのです。」
お侍は大きく感銘を受け、言いました。
「殆どの人民は多くのお金を得ようとするだろう、しかしお前は違う。お前は無料で物を私に与えようとした。お前は良心的な人物だ!。私は近々、大きな戦で闘う予定だ。私の息子となり、私の家の面倒を見てくれやしないか。」
お侍は手紙を書き、若者にそれを持たせました。
「この書を持ち、私の家族に渡せ。彼らは理解するだろう。」
若者はお侍の家に手紙を持っていきました。それは大きなお屋敷でした。お侍の家族は言いました。
「貴方様が私の家族となることを、私たちは嬉しく思います。」
若者は家族の一員となり、家を守りました。しばらくのち、お侍は、闘いの中戦死しました。若者はお侍の家を守り続けました。このようにして、藁を持った貧しい若者は大きな家の主人となりました。