エンジョイ・シンプル・イングリッシュ 和訳

NHKのラジオ番組 enjoy simple english「エンジョイシンプルイングリッシュ」を和訳しています。

「Ubazakura」(2025 年 4 月)

 

  300 年前のこと、伊予地方の朝美村と呼ばれる村に、徳兵衛と言う名の人の良い男が暮らしていた。彼は彼の村で一番裕福であり、村の長でもあった。彼はほとんどの場合、幸運な男であった。しかし彼は 40 歳だったが、父親になる喜びを知らなかった。彼と彼の妻は子をとても欲しかったので、彼らは不動明王へ毎日一所懸命祈った。

 ついに彼らの祈りは聞き届けられ、その夫婦は娘を授かった。その子供はとても可愛らしく、そして露と名付けられた。母親は子供に十分な母乳を与えることができなかったので、乳母を雇った。彼女はお袖という名であった。

 

 お露はとても美しい少女に成長した。15 の時、彼女は病を患い、全ての医者は彼女は死ぬだろうと診断した。お袖はその少女のことを本当の母親の愛情で愛していたので 21 日間、不動明王に毎日祈りに行った。その最後の日、お露は突然回復した。彼女は全く良い体の状態に成った。

 徳兵衛の家は喜びに包まれ、彼は祝いの席を開いた。しかしその夜、お袖が突然に病に落ちた。次の朝、彼女は瀕死の状態だった。家族は彼女の元へお別れを言いに集まった。しかし彼女は彼らに話した。

 

 「皆様が知らないことを私は話すべき時が来ました。私の祈りは聞き届けられました。お露さまの代わりに私が死ぬ許可を、お不動様へお願いしたのです。だから、皆様は私の死を悲しまないでください。しかし一つ御願いが御座います。私は不動様に感謝するため、境内に桜の樹を植えるという御約束をしました。今は、私は自分でそれを為すことが出来ません。皆様、私のために桜の樹を植えて頂けませんか?。さようなら、私の最愛の人たち。そして、お露さまのために死ねることを、私は幸せに思っていたことを覚えておいてください。」

 

 お袖の死後、徳兵衛が探せる可能な限り良質な桜の樹が、その寺の庭に植樹された。その樹はどんどん育った。明くる年の 2 月 16 日、美しい花びらがその樹に咲いた。昨年お袖が亡くなった日と、それは同じ日であった。そうして 254 年間の間、その桜は咲き続けた。そしてそれはいつでも 2 月 16 日だった。

 その花は母親の乳房が赤ちゃんに与える母乳のような、白く桃色をしていた。そういう経緯で、人はその樹を乳母桜、乳母の桜の樹、と呼ぶ。

 

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