
Makoto: ねえ、アヤ……。正しい道を行ってる?。古民家カフェ、もう着く?。
Aya: もちろん合ってるわ!。一本の道しかないもの。
Makoto: 念のため GPS を使ったほうがいいと思うよ。
Aya: どうして?。他の道はないじゃないの。必要ないわ。ねえマコト、わたし家族の車での旅行ではいつもナビしてたんだ。でね、わたし、迷ったこと一回もないわよ。
Makoto: そうなの?。でも君はこの地域のこと全く知らないだろう?。今回は迷うかもしれないよ。
Aya: そんなに心配なんだったら、スマホで地図をチェックしてみたら?。目的地まで私に案内してよ。
Makoto: 無理!。僕は地図を読むのがすっごく下手なんだ。僕は簡単に迷ってしまうよ。
Aya: マジ?。どうやったら迷子になれるのか、わたしには全く理解できないな。
Makoto: どういうことだい?。
Aya: もし誰かが私を新しい場所に連れて行ったとして、わたし、多分どっちが北でどっちが南か、わかると思うんだ。
Makoto: どうやってそれがわかるの?。
Aya: 時間をチェックして、太陽を見る。もし、太陽が降りかけていたらその方向は西だとわたし、わかるでしょうね。
Makoto: それなら僕でもわかるけれど……。でも、夜中だったら?。
Aya: わたしは星をみるかな。
Makoto: 曇っていたら?。
Aya: 都市部なら、交通標識を探すわ。
Makoto: 田舎で、標識が無かったならどうするの?。
Aya: ふむむ……。そうしたら、植物を見て、どちら側にそれらが育っているかを見るわ。
Makoto: なぜ?。
Aya: 植物は太陽の方向へ育つから、南方向を見つけることができるわ。
Makoto: 雪山で全てが真っ白だったら?。
Aya: それって「迷子」ではないじゃない。救助が必要だとおもうよ!。でもまあ……。もし怪我がなければ、家への帰り道はそれでも、見つけられるとおもうな。
Makoto: わあ。これらのことをどうやって身につけたの。
Aya: 常識よ。人間はかつて野生で暮らしていたのよ。動物たちのようにね。キツネやサルが地図を使って歩き回っているのをあなた、見たことがある?。
Makoto: ないけれど、でも、彼らはあまり遠くへは出歩かないよ。だから、彼らは迷わないんだよ。
Aya: 鳥たちは毎冬、地図なく南へ渡るし、イルカやクジラたちは迷わずに真っ暗な海の奥深くへ潜っていくわ。
Makoto: イルカやクジラはすごい航海技術を持っているね。
Aya: そうね。わたし、昔は人類もとても発達した移動能力を持っていたんだと思うの。でも、世界がより便利になり、それらの能力を私たちは失ってしまった、と。
Makoto: そうおもうんだ?。それらの能力を持つ人間もいるかもしれないね……君のような。我々に GPS は必要ないのかもしれない。
Aya: ええ……でも、うう……わたしたち今はそれ、ひつようかも。
Makoto: へえ?。どういう意味だい?。
Aya: わたしの人生初、わたし迷子になったと思う。
Makoto: 冗談、だよね?。たった今、君は僕に君の素晴らしい移動能力について話してくれていたじゃないか。
Aya: ええ、でもわたし、古民家カフェみつけられないよ!。わあ、これが迷子か。これは新鮮だわ!。
Makoto: アヤ!。話をするのをやめて、GPS をオンにしよう!。