Receptionist: お客様は眼鏡を紛失したのですね?。
Man: そうなんです。私は温泉を出て、浴衣を身につけました。髪を乾かす時に、眼鏡が無いことに気がついたのです。
R: お部屋にそれがないことはご確認されましたか?。
M: ええ、既に確認しました。それで、眼鏡はそこには在りませんでした。鞄の中も、見ました。眼鏡を外してどこかに行くことは私は決してしません。私が眼鏡を外すのは、お風呂に入る時と睡眠する時だけなのです。
R: なるほど。お気の毒ながら本日は、どなたか眼鏡を見かけたということは私の耳には入っておりません。
M: ああ…。それは残念だな。
R: それで、お客様の眼鏡はどのような物でしょうか?。
M: それは極めて普通の見た目をした物です。黒縁です。眼鏡だけが無くなってしまうというのはおかしいとは思いませんか?。私の眼鏡はとても度が強いんです。もしかするとそれを持っていった人もまた、目が悪いのかもしれません。
R: はい、私どもは旅館を運営しております。多くの人々がいらっしゃるような場所では、おかしなことが多く起こりますよ。
M: おかしなことですか?。どんなことでしょう?。
R: どなたか、他人の下着を間違って身につけたり、であるとかです。
M: 下着?。そんなことが起こるの?。
R: そうなんです。そういうことは現在までに数回発生しましたよ。
M: ふむ。それでは私の眼鏡も誰かが間違えて持っていったのかも知れないな。
R: 私どもの従業員が更衣室でその眼鏡をお探しします。眼鏡は小さいので、タオルのしたであるとか、籠のうらであるとかに在るのかも知れません。
M: ありえるね。
C: (電話にて)もしもし?。男性用更衣室で、黒縁の眼鏡を探してくれないですか?。うん、ありがとう。(電話がおわり)彼らが眼鏡をお探しする間、しばらくお待ちください、お客様。
M: はい。
Boy: すみません。
R: こんにちは、ぼうや。どうしたの?。
B: ぼくのお父さんのゆかたがどこかへなくなってしまいました。お父さんは着るものがないんです!。部屋まで戻れません!。
R: 浴衣が、ない?。
B: そうです。お父さんの下着も、なくなりました。だからお父さんはぼくに、フロントに伝えてくれと言いました。
R: あら、こまったね!。大丈夫だよ。私たちが見つけますね。
M: 他にも紛失物かい?。大問題だな!。まず、僕の眼鏡、そして彼の父親の衣服?。誰かが物取りをして、人が怒るのをみて喜んでいるんだよ!。
R: 私はそうは思いません、お客様。
M: なんの話をしているんだい?。私たちはこの事件を解決しないとならない。僕は誰かが僕らにいたずらを仕掛けているんだと確信する。
R: うーん、お客様。お客様の下着を調べていただくことは可能ですか?。
M: えっ?。僕の下着?。僕が間違いを犯していると言っているのかな?。信じられん…。あっ、ねえ、言う通りだ、この下着は少し小さいな…。(電話が鳴る)
R: フロントです。はい?。黒縁の眼鏡を見つけてくれたの?。下着と浴衣の入った籠の中に有った?。
M: 眼鏡?。浴衣?。
R: ああ、私はなにが起こったのか、理解したとおもいます。
M: なにっ?。僕の衣類は更衣室にまだあるというの?。
B: おじさん間違えて、ぼくのお父さんの服を着たんだね?。
M: うーむ、そのようだ。どうやらそのようにみえるな…。
B: 気をつけてください!。
M: 僕は眼鏡が無いので、よく見えなかったよ!。ああ、うーん、ごめんなさい。