
時計が 3 時を打刻した時、月は雲の影に隠れた。突然に、本棚が回転して開いた。アルセーヌ・ルパンと彼の部下たちが城内に現れた。彼らは静かに、高価な家具類と美術品を一つ一つ運び出した。最後に部屋を出て行く男にルパンは言った。
「戻って来る必要はない。トラックに全てを積み、我々の計画場所へ向かうんだ。私にはオートバイを残してくれるだけでいい。」
その男が消えると、ルパンは秘密のトンネルへの入り口を閉じるために本棚を押した。そうして違う部屋に向かった。その部屋には美しい宝石類と時計の入った大きな硝子棚が在った。ルパンはその鍵を壊し、鞄を満たし始め次に、彼のポケットを時計と宝石でいっぱいにした。彼は彼の手に宝石を抱えながら笑みを浮かべた。その時、物音が在った。ルパンは思った。
「ドゥバンヌは、近くの部屋に一人の淑女が泊まる予定だと言っていた。彼女に違いないだろう。」
彼はカーテンの裏に素早く隠れた。彼はその淑女を見ることは出来なかったが、彼女の香水の香りを嗅ぎまた、彼女の極めて早い心音を聞くことができるような気がした。ルパンは彼の心の中で思った。
「彼女は怖がっている。彼女は立ち去るだろう。」
しかし彼女はそうしなかった。彼女は突然にルパンの隠れていたカーテンを開いた。ルパンは驚いた。
「ネリーさん!」
ネリー嬢はヨーロッパからアメリカへ向かう蒸気船にて、彼が恋に落ちた女性だった。彼らのどちらもが、彼らが再び対面したということを信じることが出来なかった。彼らは立ちつくしながら、何も言葉を話すことはなかった。その時ネリー嬢の身体が震え始めた。ルパンは理解した。彼の手と衣服の中には宝石類が在った。彼女は盗賊を見ていたのだ。彼は素早く時計、宝石類を彼の鞄とポケットから取り出し、それらを椅子の上に置いた。
「私は約束します。全てが明日の 3 時までには元どおりになります。ですからお願い…。」
「誰かが近づいてきています!。貴殿はすぐに逃げないと!。」
ネリー嬢はドアまで確認しに走り、誰もいないことを知った。彼女が振り向いた時、アルセーヌ・ルパンは居なくなっていた。
翌る日の朝、警察がその強盗事件の調査を行うために城に来た。ドゥバンヌ氏はベルモンがアルセーヌ・ルパンだと考えていたが、しかし何も言わなかった。警察はこの事件を解決するためのなんの手がかりも見つけられなかった。そして皆が驚いたことに、二冊の盗まれた本がどちらも本棚に在った。
11 時ちょうどベルモンを除く、昨夜の来賓たちが全て揃った。その 1 時間後に彼は現れた。
「私は遅刻ですか?。」
「そうですね、しかしそれはしようがないことです。貴方は昨晩忙しかったのでね。」
「昨晩何が起きたのです?。」
「貴方はこの城に盗みに入った。」
ベルモンは笑いながら言った。
「まだ私をからかっているのですか?。私はそんなことはしていません。」